有朋寮の現状についてお知らせします


 これまで「学生協だより」で繰り返しお知らせしましたように、木造建築の有朋寮が築後50年を迎え、経年劣化が著しく、危険性が指摘されているため、平成13年9月18日、大学は、寮生の身体?生命の安全を図ることを目的として、翌19日以降の新規入寮生の募集を停止しました。有朋寮は、本来、学部1?2年次学生のための寄宿舎ですが、老朽化などによる入寮希望者の減少や、高学年次まで在寮する者がいるなど、本来の使用目的と異なる状況が生じてきました。また、入寮募集停止をしたにもかかわらず、今年度の新入生1名が同寮で不法に居住(国有財産(学生寄宿舎)の不正使用)しているため、少なからず混乱が生じています。
 この号ではこれらについてお知らせし、全学の教職員?学生の皆さんの理解と協力をお願いする次第です。

 


新入生1名の有朋寮への不法居住が確認されました

 昨平成13年9月18日、東北大学評議会は、老朽化による危険が心配される有朋寮について、9月19日以降の入寮募集停止と平成15年3月31日をもって使用停止することを決定し、直後に「学生協だより」No.17でお知らせしました。
 さらに本年度の新入生に対しては、入試から入学手続き時にかけて、「『東北大学案内2002』の訂正とお知らせ-学寮(寄宿舎)に入寮希望される方へ-(平成13年11月)」、「受験生ならびにご父母の皆様へ-入寮についての御案内-(本年2月26日及び3月12日)」、さらに入学手続時に配布した「入寮希望者ならびに保証人の皆様へ」などによって、有朋寮には入寮できないことを繰り返し周知してきました。また、有朋寮委員会に対しては、非公式な面談を行うとともに、学寮専門委員会(学寮専)委員長名で評議会での決定を通知(平成13年9月19日)し、引き続きいわゆる自主募集をしないよう、注意喚起文を送付(本年2月5日)しました。また寮生側も今年2月の第二次試験会場で配布したパンフレットで、「現在有朋寮には「入寮募集停止」がかけられ、入寮することができないのです。」と、受験生に対して明言していました。
 ところが大変残念なことに、有朋寮委員会が新入生1名を不法に居住させ、4月12日夕刻、不法居住者本人を含む有朋?日就寮生など約35名が学務部に押し掛けて、「入寮届」と称する文書の受け取りを強要し、学務部職員に対して言葉による暴力と長時間の拘束を伴う集団的示威行動に出ました。このことは、「学生協ニュース」No.37で詳細をお知らせしたとおりです。
 再度確認しますが、大学は有朋寮入寮募集停止を決定しており、これを撤回することはありえません。この決定が同寮の老朽化により想定される被害に対して、寮生の安全を確保するためになされたものであるからです。それゆえ、昨年9月に有朋寮への新規入寮願を提出した数名に対しても、これまでの経緯を説明し、その入寮を認めませんでした。同様に、今回の不法居住者についても認めることはできません。
 当該新入生に対しては、4月12日の「提出行動」の際に学寮専委員長が直接本人と電話で話をし、後日、本人を呼び出して「厳重注意」文書を渡しています。また当該学部では、本人に速やかに退去するよう繰り返し説得に当たっております。また保証人に対しても通知を行い、本人への説得を求めました。しかし遺憾なことに、現時点においても不法な居住が継続し退去は実現していません。この間に、大学は、学生生活協議会の議にもとづき学務担当副総長名による「不法居住の通告及び退去勧告」を出し、これを保証人にも通知すると共に、「公示」を行いました。最近配布された有朋寮のビラは、「大学がこの不法居住者本人と会って直接言い分を聞こうともしない」と主張していますが、この間の経緯を見れば、ビラの主張は理解できません。
 なお、当該新入生に対しては次の理由により学生証の交付を一時留保し、後日、当該部局窓口から直接、本人に手渡すことにしました。それは、学生が申請する各種証明書には学生証の提示が必要なものがあり、またそれらのなかには、申請学生の現住所を記載しなければならないものがあります。そこに大学として認められない現住所が記載された場合、大学は公印を押して発行することはできません。そこで、そのような書類を扱う可能性のある幾つかの事務部に、この旨の連絡を周知徹底することが必要となりました。また、本人が大学に提出した書類に記された有朋寮の住所に、本人が本当に居住しているのかについての確認が不可欠となりました。このような事務的な処理に時間が必要となったため、学生証の交付を一時保留しましたが、事務措置が済み次第、速やかに交付されています。また過去において電気料不払いに伴い入寮募集停止が行われた際にも同様の措置がなされています。
 昨年度までは、有朋寮の新規入寮生全員が正規の「入寮願」を提出して、入寮を許可されています。有朋寮の募集を停止した今年度も、入寮募集をした全寮から「入寮願」が提出され受理されました。この経緯に照らしてみれば募集停止をしている有朋寮の「入寮願」を、故意に「入寮届」と改ざんしたうえ、強引に有朋寮への入寮を試み、かつ他寮への入寮をかたくなに拒む当該新入生、有朋?日就寮生などの行為は、入寮を目指したものではなく、初めから大学の決定をないがしろにしようとする騒擾行為としか言いようがありません。
 大学は、当該新入生および有朋寮委員会に対して、このような不正常な状況を早急に是正するよう、強く求めるものです。

 


有朋寮は、本来、学部1?2年次のための学生寄宿舎です

 有朋寮の募集停止と来年度からの使用停止に伴い、大学は現在新しいコンセプトの学寮建設に向けて鋭意努力しています。そもそも有朋寮は学部1?2年生を対象とした在寮年限2年の寮であり、3年次に進む在寮生には日就?霽風?以文?松風各寮に入る道が開かれています。表1に平成4年以降の有朋寮の在寮生数と学年を示しました。この表から明らかなように平成6年までは、有朋寮は1?2年生のみの居住で正常に運営されていました。その後、平成7年以降、1年生の新規入寮が減少するとともに3?4年生から大学院生まで継続して在寮するという事態が生じてきました。平成11年度は電気料問題に伴って発生した混乱により、大学が募集停止を行ったため新規入寮者はいませんでした。平成12年度以降に募集が再開されましたが、新入生の入居はさらに著しく減少しています。
 これは、主に老朽化の著しい有朋寮への入居を新入生が希望しなくなってきたことによるものと思われます。いずれにせよ、新規入寮希望者の減少により多数の空室が発生する一方で、高学年次まで継続して居住する者も現れるという事態は、本来の有朋寮の使用目的からはずれているといわなければなりません。
 既に述べたように、平成13年9月18日の大学による使用停止決定は、使用期限を平成15年3月末としております。これにより、平成13年度入学の現2年次寮生にも2年間という正規の在寮期間が保証されることになります。またその後についても、これまでの先輩寮生同様、他の寮への移転は妨げられていません。


各寮の入寮手続きが完了しました

 各寮より、平成14年度新規入寮者(表3)の「入寮願」と「継続入寮者名簿」が提出されました。このうち日就寮は、当初「入寮願」を「入寮届」と改ざんした上で提出しようとしましたが、大学の説得により、4月22日までに「入寮願」の再提出が行われ、受理されました。これにより、日就寮の20名を含む全ての寮の入寮者が確定しております。「入寮願」の改ざんは、かつて平成12年度の入寮手続きの際にも行われていることから、大学は、あらかじめ3月20日付で各寮委員長あてに「入寮願」の提出を周知しておりました。にもかかわらず、再び改ざん行為が繰り返されたことは、はなはだ残念なことと言わねばなりません。日就寮委員会が大学の指導に従い、正式の「入寮願」の提出に応じたことを大学としては評価し、今後もルールに則った対応を求める次第です。

 


平成14年度の各寮への応募状況についてお知らせします

 学部新入生が入居可能な寮は、現在、明善寮、日就寮、以文寮と如春寮であり、表3に平成14年度の新入生の応募状況を示しました。日就寮については、受験生の父母等からの寮の実状についての情報提供の要請がなされたため、平成10年4月からの寮生個人使用の電気料負担区分是正問題の解決過程でなされた、本年4月12日の事務官拘束と類似した一部寮生による集団的暴力行為や、会議妨害行為等が繰り返されたこと、またこれらの寮生の一部が全国的な過激派と呼ばれる組織に参加していることなどについて情報開示しました。応募者の増減はこれらの情報を得た上での、入寮希望者の自主的な選択の結果だと思われます。また、進行する老朽化と同時に、現在の大多数の学生が希望する居住形式とは大きく異なっている二人部屋の有朋寮では、表1の昨年度までの実績数が示すように、新規入寮者はここ数年、極端に減少しています。一方で、明善寮、以文寮の2寮への応募が高くなっています。また、女子学生が入寮できるのは唯一如春寮だけであり、収容定員は全学年あわせてわずか64名のみであり、常に満室の状況で応募状況も非常に高く、平成14年度は6.9倍となっています。
 これらの応募傾向は、平成14年度に限られたものではなく、本学における学寮施設の必要性が大変高いことを示しています。このような事情を踏まえて、大学としては今後も引き続き、多数の学生の要望に沿った形での新規学生寄宿舎の建設を実現すべく(「学生協だより」No.20参照)、全学の教職員?学生の皆さんの理解と協力のもとで、最大限努力していくつもりです。

 


表1 有朋寮(年度別?学年別)在寮生調【定員238人】 毎年度4月1日(単位:人)

区   分  学  部  学  生     大学院学生  計 
1年生 2年生 3年生 4年生 5年生(医学部)
平成4年 76 132 0 0 0 0 208
平成5年 80 71 0 0 0 0 151
平成6年 93 83 0 0 0 0 176
平成7年 59 90 9 0 0 0 158
平成8年 60 49 34 6 0 0 149
平成9年 78 52 25 29 0 0 184
平成10年 64 68 36 29 0 1 198
平成11年 0 49 36 44 0 3 132
平成12年 37 1 24 46 0 7 115
平成13年 19 28 8 36 0 14 105
平成14年 5 7 21 1 11 45
平成14年
( 6月1日現在)
4 7 20 1 11 43

 

表2 有朋寮入寮年度(在寮年数)調 平成14年6月1日現在(単位:人)

区 分 入  寮  年  度
6年 7年 8年 9年 10年 11年 12年 13年  



2年生          




  4 4
3年生           7   7
4年生 1     6 7 6   20
5年生
(医学部)
        1     1
大学院学生      2 7 2     11
計  1 0 2 13 10 0 13 4 43

 

表3 平成14年度応募状況 平成14年6月1日現在(単位:人)

区   分  定 員  募集人員  応募者数  倍 率(倍)  入 寮 者 数 
学部1年 その他
松 風 寮 150 38 55 1.5 0 39
明 善 寮 160 86 (551)193 (6.4)2.2 79 0
如 春 寮 64 12 (195)83 (16.3)6.9 11 1
以 文 寮 96 19 (76)68 (4.0)3.6 18 0
霽 風 寮 81 27 35 1.3 0 25
日 就 寮 103 35 20 0.6 20 0
654 192 (932)454 (4.9)2.4 128 65

 

 『学生協だより』は、東北大学のホームページの【学内掲示板】から参照することができます。(ただし学内からのみアクセス可)
 この他に学生協からのお知らせを随時掲載する掲示板『キャンパスライフ』が、東北大学ホームページの【学内掲示板】の下に開設されています。
  http://www3.bureau.tohoku.ac.jp/gakuseikyo/
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