学生協だより no.1


有朋寮、日就寮、以文寮、霽風寮の
電気料負担区分是正問題について



国家予算が厳正に執行されるべきであることは論をまたない。しかるに、 本学における学寮経費の国費超過負担問題は会計検査院の最初の指摘以来 25年に至ってもなお完全な解決を見ていない。
昨年10月中旬、本学は会計検査院から、学寮における電気料負担区分に関して 国費の超過負担がある旨の文書照会を受けた。今回の会計検査院の実地検査では、 本学の有朋寮、日就寮、以文寮、霽風寮の4寮において寮生が私生活のために 支払うべき電気料は、寮生一人につき月額約700円の不足となっており、その結果、 平成4年度から5年間の4寮における電気料の国費超過負担額は約1,558万円である と指摘された。本学としても、 寮生の私生活にかかわる電気料の一部を研究教育費で賄うことは、 寮生以外の学生との公平性、大学予算の目的拘束性の観点からみても不合理であり、 寮生の私生活にかかわる費用はすべて寮生が負担すべきものであると考え、 ことあるごとに負担区分の是正を求めてきた。 この学寮における電気料の国費超過負担問題を平成10年4月1日をもって 是正しなければならないと考えている。
その内容、東北大学としての取組み及び現状をここに御報告し、 寮生を始め全学の学生並びに教職員の正しい御理解と御協力をお願いする次第である。


1 国費超過負担問題について

昨年6月23日から27日にかけて行われた会計実地検査の講評において、 学寮の電気料及びごみ処理経費に国費の超過負担があることを指摘された。
その後、会計検査院による調査や折衝の経緯を経て10月には、 電気料の国費超過負担に絞って文書でその是正を求められた。
その内容は、寮生の居室部分などの私生活にかかわる電気料は 寮生が自己負担すべきものであるにもかかわらず、 標記4寮において寮生の私生活部分にかかわる電気料の一部を国費で支払っているが、 このような取り扱いは、通達に違背しているばかりでなく、 他の学寮の寮生との均衡上、また、受益に見合った経費の合理的な負担の上から見ても 適切とは認められない、 その国費超過負担を期日を定めて早期に是正せよというものであった。
学寮経費の負担区分については、昭和39年に文部省より通達が出され、それによれば、 寮生が負担すべき電気料は、 居室で使用される電気その他の私生活のために使用される電気料 及び寮生の炊事のために使用する電気の料金とされている。 今回指摘された4寮については、昭和36年に大学と寮生が申し合わせた大学60%、 寮生40%の負担区分率を適用していたため、昭和47年及び昭和54年の過去2回、 会計検査院から電気料の国費超過負担の指摘を受け、 大学はできるだけ早期に通達に即した負担区分の実施となるよう努力する旨の 回答を行っている。しかし、 長年にわたる寮生への説得にもかかわらず負担区分問題が解決されないまま、 今回の第3回目の会計検査院の指摘となった。


2 東北大学としての取組み

本学は、私生活にかかわる電気料は寮生が負担すべき費用であって、 大学全体の研究教育費で補うべき性質のものではないと考えている。 このことについては、 すでに昭和60年及び平成3年に学生部長名で寮生に伝えるとともに、 機会あるごとに電気料負担区分問題があることを寮生に指摘し説得を重ねて来た。
今回、本学は、会計検査院の指摘を受けるまでもなく、 国の予算を厳正に執行しなければならないことを反省するとともに、 (1)今回の指摘が会計検査院の最後通告にも等しい強力なものであること、 (2)電気料是正問題は最近発生した問題ではなく、25年間も未解決のままできたこと、 (3)このような問題は100近くある国立大学の中で 東北大学だけが抱えている問題であり、 本学においても他の4寮についてはすでに是正されていること、 (4)このまま是正しなければ 今後は厚生補導関係予算だけではなく大学全体の予算に影響を及ぼしかねないことなど、 大学を取り巻く厳しい情勢を憂慮して対応措置を協議した。
その結果、本学は「平成10年4月1日をもって有朋寮、日就寮、以文寮及び霽風寮 における電気料の国費超過負担を是正する」という基本原則を全学で確認し、 11月初旬にこれに沿った回答文を会計検査院に送付した。 会計検査院への回答を急がなければならなかったのは、 10月中に回答することを迫られていたためであり、また、 是正する旨の回答が遅れることによって、 過去における国費超過負担分の返還命令や職員の処分等に発展することを できるだけ避ける必要があると判断したためである。
是正の上記基本原則を受けて実際にどのような方法で是正を行うか を考えなければならないが、有朋寮及び昭和舎の新寮化計画に 決定的な障害が生じないように当該寮生に負担を求めるしかないと考えている。 寮生に現状以上の経済的負担を求めるのは忍びないが、そのことによって、 当該寮生の負担が他の東北大学の寮生及び他のすべての国立大学の寮生と同じ基準 になるのであり、ことさら過大な負担を求めているわけではない。 具体的には、国費負担分と寮生負担分とを明確にするために 配線工事をしてメーターを別々に設置する方法についても検討する必要がある。 また、メーターが設置されるまでの間は、国費負担分を電気の基 本料金及び公共部分にかかわる使用推定時間に応じた料金とし、 その余りを寮生負担とすることになろう。 また、寮生が負担すべき電気料の範囲を事前に公示できるようにする必要がある と考えている。
寮生に対しては、電気料負担区分是正問題を9月25日に非公式に伝えるとともに、 学生部長会見をもって話し合う方針であることを10月14日に正式に伝え、 2回の予備折衝を経て12月17日に学生部長会見を行った。


3 電気料負担区分是正問題の現状

学生部長会見は、平成9年12月17日から18日未明にかけて、 学生部大会議室において行われた。寮連(東北大学学生寮自治会連合)は あくまでもこれまでの負担区分の継続を主張し、 「電気料是正の白紙撤回」を要求した。さらに、白紙撤回できないならば、 大学は寮連に対して電気料値上げの一方的通達をするとみなすと迫った。
大学側は、4月1日をもって電気料是正を行いたい。その方針は 全学で総合的な判断にもとづいて決定されたものであり、 白紙撤回することはできないが、具体的是正方法について寮連との対話を継続したい と述べた。最終的には、寮連が、 「大学が寮連に対して電気料値上げの一方的通達を行ったことにより、 両者の関係は非和解的状況となった。電気料値上げをあくまで阻止する」と宣言した。
この会見が、予備折衝で会見の持ち方について合意した確認事項を完全に無視し、 学生部長の自由な発言を多数の声で妨害し、 机を取り囲んで脅迫、強要に類する行為を繰り返し、 体調を崩した学生部長への休憩も容易には認めないなど、 非常に危機的状況下に進められたことは誠に遺憾である。 また、当日は一部に暴力的行為や破壊的行為が見られたのも許しがたいことである。
標記4寮に対しては東北大学寄宿舎規程が適用されている。 寮生は大学と寮生との合意を主張するが、学寮の自治と 国有財産法や文部省所管国有財産取扱規程などに基づく大学の学寮管理権限?責任と の関係は、たびたび議論されてきた。 大学は寮生の自治を尊重しなければならないのはもちろんであるが、 大学が独自の判断で決定する場合がなければならないと考えている。 例えば、大学として学寮の管理責任を負えないという状況が生じたような場合には、 大学は独自の判断でこれらの法規によって認められた権限を行使して 責任を全うすることができなければならない。 なぜならば、責任を負っていない寮生の判断によって阻害されて、 責任を負っている大学関係者が法的に認められた権限を行使することができず、 その結果として責任を追及されなければならないのは耐え難い不条理であるからである。 学寮に関する事項はすべて「団交」で決めるという原則は、 寮生の代表者だけで大学と合意してはいけない、 合意はすべて「団交」の場で行うべきである という寮生側の間の意志形成の方式に関する原則であると理解している。
大学としては、すでに述べた理由により、是正のための具体的な事項について 寮生と、理性的に接触する場があれば、話し合いをもちつつ、 4月1日からの電気料負担区分是正に向けて努力する所存である。 寮生諸君にあっては、これまで学生部長会見等において説明のあった 電気料の負担区分に関する大学側の基本的考えや 本学の学寮の置かれている今日の状況を正しく理解して行動されることを切望する。
また、全学の各位に置かれても、電気料負担区分是正問題と本学の置かれている 現状を御理解頂くとともに、 その解決に向けて御協力下さるよう重ねてお願いする次第である。

                   学 生 生 活 協 議 会     

                       

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