学寮の電気料負担区分是正問題の解決をねがって

 

1 はじめに

 

 有朋寮及び八木山3寮(日就寮、以文寮、霽風寮)の電気料の負担区分是正が問題となってから1年を迎えようとしています。昨年、大学は会計検査院の3度目の指摘を受けて、30数年来の課題を解決することを決断し、今年度から新しい負担区分に基づく電気料を上記4寮の寮生に請求しております。しかし、有朋寮と日就寮の2寮は新負担区分による請求額の支払いを拒否し続けています。このままの状態が続けば、大学は5月請求分電気料の未納者に対しては退寮命令等の厳正な措置をとらざるを得なくなり、きわめて憂慮すべき事態に直面しようとしております。

 大学としては、寮生が大学の考えを十分に理解した上で、負担区分是正を受け入れることが望ましいと考え、そのためにこれまで「学生協だより」を発行し、また学生寮自治会連合(寮連)と学寮専門委員会(学寮専)との面談等を通して、繰り返し説明し理解を求めてきました。残念ながら、大学と寮連との間にはまだ隔たりがありますが、学生協では、今一度、大学の考えを寮生に説明し理解を求める努力を行い、問題を穏やかに解決できる道を探っているところです。

 本号では、6月以降の経緯と現況をお知らせするとともに、寮生の抗議についてあらためて見解を述べ、寮生を含む全学の構成員の皆様にご理解とご協力をお願いするものです。

 

2 6月以降の経緯

 

 大学は5月から毎月、前月の電気料のうち私的生活部分の使用電気料を新しい負担区分による基準で算出し、寮生個人に請求しています。今回電気料負担区分是正の対象となった上記4寮のうち、以文寮は5月請求分から、また霽風寮も7月に5月請求分に遡って請求通りの金額を納入しております。

 他方、有朋寮と日就寮は請求通りの納入を拒み、未払いの状態が継続しています。これに対して大学は国庫から電気料の寮生負担相当額を支出し、「納入告知書」を発行して国庫への納入を求めています。5月?6月請求分については寮生本人に送付しましたが、納入されなかったので、「納付書」を連帯保証人に送り、本人に代わって納めることをお願いしました。7月請求分以降は「納入告知書」を連帯保証人に送っています。それにより、この2寮の寮生の連帯保証人の方から国庫への納入がなされつつあります。しかし、5月請求分から未払いになっている寮生については、納入期限からすでに4ヶ月が経過しており、大学として退寮命令等の措置をとることの決断を迫られる時期が近づいていると考えております。

 

3 寮生の抗議について

 

 大学は、これまで、寮連や各寮委員会の抗議行動?抗議声明にはできるだけ耳を傾け、直接の要求に対しては副総長(学務等担当)あるいは学寮専委員長から文書等で逐次回答してきました(資料「寮連の抗議声明(6月8日)について」及び「7月15日の「抗議声明」について」参照)。それらの中で、あるいは今までの「学生協だより」の中で、寮生の抗議内容が事実と異なったり誤解によると考える場合は説明を行い、要求に応えられない場合はその旨を理由とともにはっきりと述べてきました。また、寮連と学寮専との面談を通して、寮生と意見を交換し、大学の考えを説明してきました。

 今回の是正は、寮生が私的に使用した電気料は寮生個人が負担すべきであるとの原則に基づいています。このことは寮生にも理解されていると思っています。また、昨年12月の学生部長会見の場で寮生との話し合いに入れず、やむなく公示によって示した負担区分の基準は、寮生にそれほど大きな負担を強いるものではありません。

 寮生の抗議の根底には、この原則や金額の多寡よりもむしろ、今回の是正の決定までにたどった経緯や会計検査院からの指摘についての寮生への周知の仕方について、寮生各人の疑問や不信があるのではないかと考えています。寮連は「大学は負担区分の是正を一方的に決定して押し付けた」と主張していると理解していますが、ここに至るまでの長い歴史的な経緯を考えると、大学が「一方的決定」を「押し付けた」ということは正しくありません。しかし、そのように受け取られたことを重くみて、引き続き会計検査院の指摘の重大性について、寮生の十分な理解を得るよう努力していきたいと考えています。

 学生協ではこれまで寮生に不払いを止めるよう要請してきましたが、現在、さらに解決への道を探るため?学寮専と寮連や寮委員会との面談を呼びかけています。資料として、学寮専委員長から有朋寮と日就寮の寮生へ宛てた手紙を掲載しておきます。

 

4 おわりに

 

 以上、電気料問題の経緯を伝え、差し迫った時間の中で解決に向けて学生協が行っている努力について述べてきました。話し合いを通して、寮生の理解が深まり大学の構成員が認識を新たにすることによって、問題が解決し、今後学寮の運営に問題が生じないようになることを願っています。

 

                                            学生生活協議会

 

 

 

 

 

【資料1】

 学生寮自治会連合委員長 殿

 

寮連の抗議声明(6月8日)について

 

 比度の電気料是正に関する会計検査院の第3次指摘は最終通告に等しく、本学は厳しく責任を問われました。この指摘を無視するようなことになれば、本学は不適正な支出を改めなかったこととなり、大学全体の運営に多大な支障が出ることが予想され、本学の存亡にもかかわる重大な事態となります。また以前から本学は、寮生個人が使用した電気料を個人負担することは社会通念からも妥当であるとの判断を表明してきました。

 諸君の抗議内容については学生生活協議会で検討してきましたが、電気料負担区分是正を白紙撤回することは出来ないことが再度確認されました。現在、今年2月の学生部長名での公示に従い、新負担区分に基づいた電気料金の納入についての手続きが進められておりますが、諸君が籍を置いている大学が直面している厳しい現状を理解し、一日も早く適正な電気料を納入することを切に望みます。

 

1998年 6月24日 

                                       学務等担当副総長    江 原 淑 夫

                                        学寮専門委員会委員長  寺 崎 哲 也

 

 

 

【資料2】

 学生寮自治会連合委員長殿

 

7月15日の?抗議声明?について

 

 本学が、会計検査院の指摘にしたがって、寮生の私的生活部分に係る電気料を自己負担とする原則に基づくように、従来の負担区分を是正することの必要性を認めて久しい。第1次、そして第2次の会計検査院の指摘の際には、大学はその必要性を認めて、早急に是正したい旨を回答している。大学の要請に対して、八木山3寮と有朋寮については解決が残された。平成3年(1991年)には、当時の学生部長が文書でこの問題について寮生に話し合いに応じるよう求めたが、寮生からの返答はなかった。その後も、学生部長が寮連との会見のおりに、負担区分是正に応じるよう説得したが、寮生からの理解と協力は得られなかった。

 そして、昨年、会計検査院から3度目の指摘がなされたのである。第3次の会計検査院の指摘は最終通告にも等しく、本学は厳しい責任を問われることになり、大学としての責任において是正を決意しなければならない状況となった。そのため、大学は全部局に諮り、その賛同を得た上で、基本方針を評議会で決定し、寮生の理解を求めることとなった。

 大学は、寮生に決して無理なことを要求しているつもりではない。本学学寮の4寮はすでに会計検査院の指摘に沿う電気料を支払っており、また今回の是正に伴う負担の増加額はそれほど過重ではない。さらに、一般社会の考え方からみてもこの大学の決定に無理があるとは考えられない。大学は、会計検査院の第3次指摘の重大性とともにこれらの点を併せて考えて、負担区分の是正は不可避であると判断したのである。

 副総長との面談については、現在、副総長が寮生と面談を行うような状況にあるとは考えていない。理由は、第一に、大学の考え方やこれまでの経緯については?『広報』や『学生協だより』等で繰り返し説明してきたので、副総長が改めて説明するまでもないと考えているからである。第二に、電気料問題については昨年12月に学生部長が会見を行ったが、そこでは予備折衝で合意したルールがまったく無視され、大学は寮連との会見に強い不信感を抱いている。第三に、大学の意思はある特定の個人が決定できるものではなく、全学的な委員会で検討し、全部局に諮ってはじめて決定されるものである。

 再度、全寮生が大学の立場を理解してくれることを切に希望するとともに、新負担区分に基づく電気料の支払いがなされることを重ねて要望する。

 

1998年 8月 7日

                                            副総長(学務等担当)

                                            学寮専門委員会委員長

 

 

 

【資料3】

                                            平成10年 9月16日

 有朋寮?日就寮の寮生諸君へ

 

 この4月から新しい負担区分に基づく電気料の支払いを、諸君がいまだに拒否していることは、きわめて残念なことです。このままの状態が続けば、大学は退寮命令等の措置をとらざるを得なくなり、憂慮すべき事態を迎えることになります。学寮専としては、このような事態を避けたいと思い、話し合いによる解決の道を模索するために、8月末以来、寮連委員長及び有朋寮と日就寮の委員長に面談を提案しました。しかし、それらの提案が拒否されたため、学寮専委員長として、書面で直接、二寮の寮生に不払いを止めることを要請するとともに、寮連や寮委員会との面談を持ちたいと考えていることを伝えます。

 昨年、大学として確認したことは、基本的には寮生が私的生活に係る電気料を自己負担することにせざるを得ないということであって、「寮自治の破壊」を意図しているものではありません。また大学が「一方的に決定して寮生に押し付けた」という点については、そのように受け取られたのは残念でしたが、大学が寮生を無視して決定したのではないと理解しています。この問題の長い歴史的な背景や会計検査院の3度目の指摘の意味、そして時間的な制約など、これまで繰り返し説明してきたことを今一度思い起こして、諸君が合理的な判断をすることを望みます。

 今回の電気料負担区分是正の基本方針を変えることはできませんが、昨年来のこの問題について寮生諸君が疑問と不信を抱いているとの認識にたち、大学と寮生との信頼関係を回復する意味で、学寮専としては、できうる限り寮生に必要な情報は伝え、意見を聞き、要望を尊重するよう努めたいと考えています。また、寮の委員会が支払う用意があるのであれば、請求方法等についても考慮するつもりです。

 今日、東北大学のみならず、大学をめぐる状況はまことに厳しいものがあります。寮生にも大学のこのような立場や状況への理解と協力を求めたいと思います。

 時間は切迫していますが、学寮専は寮連や寮委員会からの申し出を待っています。

 

                                        学寮専門委員会委員長 佐 竹 正 夫

 

 

 

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