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暑さの継続時間に応じて異なる遺伝子応答 ―ヤモリを用いて順応とストレス応答の違いを 遺伝子レベルで解明―

【本学研究者情報】

〇教養教育院 総長特命教授 河田雅圭
ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 爬虫類などの外温動物(注1)は気候変動に対して脆弱であると考えられており、多くの種が絶滅の危機に瀕しています。
  • ソメワケササクレヤモリを対象に期間の異なる複数の温度条件で遺伝子発現とその制御の違いを全ゲノム網羅的に調査しました。
  • 数時間レベルの気温の急激な変化に対する応答と数十日にわたる長期的な温度環境への順化では関与する遺伝子の機能的な特徴が異なることがわかりました。
  • 本研究は、外温動物が新たな温度環境に対して順応していく際の時系列的なプロセスを理解する上での基礎的な知見を提供します。

【概要】

温度に晒される時間は温度に対する応答を形作る上で重要な要因の一つであると考えられますが、時間による分子的な応答メカニズムの違いは爬虫類において十分に理解されていませんでした。

東北大学大学院生命科学研究科の坂本芙久大学院生(研究当時。現:自然環境研究センター研究員)、河田雅圭教授(研究当時。現:東北大学総長特命教授)らの研究グループは、アンタナナリボ大学のFélix Rakotondraparany博士と共同で、ソメワケササクレヤモリを対象に異なる時間スケールの環境温度の変化が生物に与える影響を分子レベルで調査しました。結果、数時間の急激で極端な温度変化が既知の熱ストレス応答を誘導する一方で、数十日にわたる温度処理は免疫等に関わる遺伝子の発現を変化させることを明らかにしました。さらに、遺伝子発現を調節する転写因子(注2)の挙動が温度の持続時間によって変化することが示唆され、遺伝子発現制御の時間的な変化を介してストレス応答から順化への移行が起こる可能性が示されました。本成果は、温暖化に対する外温動物の順化能力の理解を深め、保全対策の立案に貢献します。

本研究の成果は、1月17日付でMolecular Ecology誌に掲載されました。

図1. ソメワケササクレヤモリ(Paroedura picta)。

【用語解説】

注1. 外温動物:体温調節を外部の熱源に依存する動物。

注2. 転写因子:DNAに結合して、遺伝子が「どれくらい働くか(発現するか)」を調節するタンパク質

【論文情報】

タイトル:Molecular Responses to Temperature Changes Across Timescales in the Madagascar Ground Gecko (Paroedura picta)
著者:Fuku Sakamoto, Shunsuke Kanamori, Félix Rakotondraparany, Takashi Makino, Masakado Kawata*(*責任著者)
*責任著者:河田雅圭; 東北大学大学院生命科学研究科進化生物分野 教授(現?東北大学教養教育院 総長特命教授)
掲載誌:Molecular Ecology
DOI:10.1111/mec.70245

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学教養教育院
総長特命教授 河田 雅圭
TEL: 022-795-4974
Email: kawata*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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