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磁気ハイパーサーミアとリンパ系送達法の融合による低侵襲ながん転移治療法を確立 ―リンパ系送達法による低侵襲な転移抑制効果―

【本学研究者情報】

〇医工学研究科 教授 小玉哲也
研究室ウェブサイト

〇医工学研究科 教授 薮上信
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • がん細胞を熱で死滅させる磁気ハイパーサーミア装置(注1について、治療部位の温度を精密に制御できる仕組みを新たに開発しました。
  • 新たに開発した装置とリンパ系送達法を組み合わせることで、ヒトと同等の大きさのリンパ節を有するリンパ節転移モデルマウスにおいて、明らかな副作用を伴うことなく転移の進行を抑制することに成功しました。
  • 加熱を行っていない遠隔転移部位(肺)でも腫瘍抑制効果が現れました。
  • リンパ節手術に代わる非侵襲的ながん治療法として、早期がん患者への応用が期待されます。

【概要】

がんのリンパ節転移は、がんの進行や再発、患者の予後を大きく左右する重要な過程です。転移リンパ節の外科的切除は有効である一方、侵襲性が高く、副作用のリスクが避けられません。磁性ナノ粒子(注2)を用いた磁気ハイパーサ ーミアは、放射線や抗がん剤を使わずにがん細胞を熱で死滅させる低侵襲?高 安全性の治療技術として注目されています。

東北大学大学院工学研究科の桑波田晃弘准教授、大学院歯学研究科のアリウンブヤン?スフバートル助教、ならびに大学院医工学研究科の小玉哲也教授、薮上信教授らによる共同研究グループは、ヒトと同等の大きさのリンパ節を有するリンパ節転移モデルマウスを用いて、転移リンパ節に磁性ナノ粒子を注入し、外部磁場により局所的に加熱することでがん増殖を効果的に抑制することに成功しました。さらに、加熱を行っていない遠隔転移部位(肺)でも腫瘍抑 制効果が現れ、免疫応答を介した全身的ながんの抑制効果が確認されました。これらの成果は、リンパ節転移を標的とした非侵襲?免疫活性化型治療という新たなパラダイムを提示するものであり、将来的な臨床応用に向けた道を切り拓くものです。

本研究成果は、2025年11月25日付で Scientific Reports(電子版)に掲載されました。

図. 治療部位の温度を精密に制御できる磁気ハイパーサーミア装置
本研究グループが開発した磁気ハイパーサーミア装置は、リンパ節転移モデルマウスに投与された磁性ナノ粒子の温度を精密に制御可能である。安全な治療温度を維持することで、がん細胞を熱で死滅させる低侵襲?高安全性の治療技術として期待される。

【用語解説】

注1. 磁気ハイパーサーミア装置
がんの部位に投与した磁性体を外部から交流磁場を印加することで発熱させ、その熱によりがん細胞を死滅させることができる治療装置。

注2. 磁性ナノ粒子
ナノメートルサイズの磁性体(主に酸化鉄)で、交流磁場を印加すると発熱する特性を持つ。生体適合性が高く、がん細胞を選択的に加熱して死滅させる治療への応用が進められている。

【論文情報】

タイトル:Magnetic hyperthermia using iron oxide nanoparticles via LDDS suppressed lymph node and lung metastasis in a mouse model
著者:Akihiro Kuwahata, Ariunbuyan Sukhbaatar, Akihiro Shikano, Loi Tonthat, Takayuki Kagami, Riku Shinohara, Shiro Mori, Shin Yabukami*, and Tetsuya Kodama*
*責任著者:
東北大学大学院医工学研究科 教授 小玉哲也
東北大学大学院工学研究科 教授 薮上信
掲載誌:Scientific Reports
DOI: 10.1038/s41598-025-25808-5

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
腫瘍医工学分野
教授 小玉 哲也(こだま てつや)
TEL: 022-717-7583
Email: kodama*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院医工学研究科
生体電磁エネルギー医工学分野
教授 薮上 信(やぶかみ しん)
TEL: 022-795-7059
Email: shin.yabukami.e7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
総務係
Email: bme-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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