2025年 | プレスリリース?研究成果
秒スケールで宇宙をとらえる ―人工衛星?スペースデブリの閃光現象を大量検出―
【本学研究者情報】
〇大学院理学研究科天文学専攻 教授 田中 雅臣(たなか まさおみ)
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 宇宙で1秒程度だけ可視光で輝く突発天体現象(注1)が存在するかどうかは、これまで知られていませんでした。
- 世界で最も高い感度で可視光の「広域動画観測」を行い、得られた大量のデータを解析した結果、0.5秒だけ映る閃光現象が約1500個発見された。
- これらの多くが地球を周回する人工衛星?スペースデブリが太陽光を反射するもので、その頻度は全天で1日に1000万回にも及ぶことが分かった。
- 天文学の宇宙動画観測が、地球を周回する物体の理解にも役に立つことが示された。
【概要】
私たちが夜空を見上げると、同じような星々が瞬いているように見えます。しかし実際の宇宙は、恒星の大爆発(超新星爆発)のように突発的でダイナミックな現象に満ちています。こうした「時間とともに変化する宇宙」を研究する分野は時間領域天文学と呼ばれ、世界中で活発に探究されています。
東北大学?東京大学?理化学研究所?NTT?東京科学大学らの研究者から成る研究グループは、東京大学木曽観測所の広視野カメラ「Tomo-e Gozen(注2)」を用いて、世界で最も高感度な夜空の「広域動画観測」を行いました。その結果、わずか0.5秒だけ光る閃光現象を1500個以上発見しました。その多くは人工衛星やスペースデブリが太陽光を反射することで生じたもので、全天では1日に1000万回もの頻度で発生していることが分かりました。この結果により、可視光で「秒」スケールの突発天体現象を探す際に考慮すべき人工物体の影響が明らかになり、今後の突発天体探査に向けた重要な一歩となりました。また、観測から得られたデータは、これまで追跡が難しかったスペースデブリの存在を明らかにし、その数や性質を調べる新たな手法にもつながります。
本研究成果は、2025年11月26日付で科学誌 The Astrophysical Journal に掲載されました。
図1. 動画データから検出された閃光現象の画像。横に並んだ5つのパネルが0.5秒ごとの時系列を表しており、真ん中の時間にだけ閃光現象が現れている(赤枠)。各パネルの視野角は約0.03度。
【用語解説】
注1. 1秒よりも短い突発天体現象:私たちの目にみえる可視光では知られていなかったものの、ガンマ線で宇宙を監視すると「ガンマ線バースト」と呼ばれる恒星の爆発現象が見えることが知られており、近年では電波で「高速電波バースト」という謎の現象も見つかりつつある。
注2. 広視野カメラ Tomo-e Gozen:木曽観測所シュミット望遠鏡に取り付けられた可視光広視野カメラ。84個の CMOS センサーによって、一度に満月約100個分の領域の動画観測を行うことができる。
【論文情報】
タイトル:Second-timescale Glints from Satellites and Space Debris Detected with Tomo-e Gozen
著者: Masaomi Tanaka*, Ichiro Takahashi, Naoki Yoshida, Naonori Ueda, Akisato Kimura, Kazuma Mitsuda, Hirofumi Noda, Shigeyuki Sako, Noriaki Arima, Mitsuru Kokubo, Tomoki Morokuma, Yuu Niino, Nozomu Tominaga, Kenzo Kinugasa, Naoto Kobayashi, Sohei Kondo, Yuki Mori, Ryou Ohsawa, Hidenori Takahashi, Satoshi Takita
*責任著者:東北大学大学院理学研究科 教授 田中雅臣
掲載誌:The Astrophysical Journal
DOI:10.3847/1538-4357/ae0f99
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科天文学専攻
教授 田中 雅臣(たなか まさおみ)
TEL: 022-795-6500
Email: masaomi.tanaka*astr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報?アウトリーチ支援室
TEL: 022-795-6708
Email: sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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