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クリーンエネルギー発電設備の長寿命化設計技術を開発 ―カーボンニュートラルを加速する新たな基盤技術―

【本学研究者情報】

〇材料科学高等研究所 助教 王 潤梓
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 太陽光、風力、原子力などのクリーンエネルギー発電設備において、実稼働中の劣化損傷の進行を、定量的かつ高精度に予測評価する手法を開発しました。
  • 機械的損傷、化学的損傷、材料科学的損傷を統合的に評価する定量的物理モデルを構築しました。
  • 実稼働環境での機器寿命予測精度が4~7倍に向上し、実機でその有効性を実証しました。
  • 各種クリーンエネルギー機器のライフサイクル二酸化炭素排出削減量(注1)を2倍?5倍に高めることから、カーボンニュートラル社会実現に大きく貢献する成果です。

【概要】

世界的に再生可能エネルギーの導入が加速する中、熱や頻繁な出力変動、腐食などによる設備の予期せぬ故障の頻発が深刻な問題となっています。

東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の王 潤梓 助教らと島根大学、中国の華東理工大学の共同研究チームは、太陽光、風力、原子力などクリーンエネルギー発電設備の寿命を高精度で予測する技術を開発しました。設備の稼働中に同時に進行し、複雑に干渉して劣化を加速させる機械的、化学的、材料科学的などの損傷要因について、従来と比べ4~7倍の精度で予測が可能です。

本技術により、設備の突然の故障を未然に防ぎ、部品の交換や修理の時期を適切に管理できることから、長期間、安全に運転することが可能となります。また発電設備の長寿命化は発電コストを削減し、最終的に家庭の電気料金負担軽減にも貢献します。さらに設備交換頻度の減少により製造時の炭素排出量も削減され、ライフサイクル二酸化炭素排出削減量を最大で5倍に高めることができ、カーボンニュートラル社会の実現を支える重要な技術的基盤となることが期待されます。

本研究成果は、2025年11月10日に学術誌 Engineering にオンライン掲載されました。

図1. 再エネ発電設備における構造材料の複合損傷相互作用の模式図

【用語解説】

注1. ライフサイクル二酸化炭素排出削減量:原材料の採取?製造?輸送?運転?保守?廃棄?リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通じて、従来システムと比較して削減される二酸化炭素排出量のこと。

【論文情報】

タイトル:Accurate Lifetime Design of Critical Mechanical Equipment for Clean-Energy Generation in the Context of Carbon Neutrality
著者: Run-Zi Wang*, Wen-Rui Nie, Chuanyang Lu, Zhengyang Zhang, Yipu Xu, Yutaka S. Sato, Hideo Miura, Xian-Cheng Zhang, Shan-Tung Tu*
*責任著者:東北大学材料科学高等研究所 助教 Run-Zi WANG(王 潤梓)
掲載誌:Engineering
DOI:10.1016/j.eng.2025.09.029

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)
材料科学コアリサーチクラスター(CRC-MS)
助教 王 潤梓
TEL: 022-795-7353
Email: runzi.wang.a7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
材料科学高等研究所(WPI-AIMR)広報戦略室
TEL: 022-217-6146
Email: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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