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災害後の歴史資料の救出?保存支援は被災者の心の復興に寄与 ―統計的データ分析で裏付け―

【本学研究者情報】

〇災害科学国際研究所 特任教授(客員) 上山眞知子
研究所ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 東日本大震災によって個人が所有する歴史文化資料(史料)が被災した後、第三者によって史料の救出?保存支援を受けた人たちに焦点を当て、この支援が史料所有者の心の復興にどのように影響したか、心理学者(臨床心理士資格保有者)?歴史学者の連携で明らかにしました。
  • 災害後の史料の救出?保存支援が被災者のレジリエンス(災害などの困難に適応すること)に寄与し得ることを、統計的データ分析で裏付けました。
  • 特に、被災後3カ月以内に支援を受けた人たちの多くは、支援や史料、震災経験を肯定的に捉え、その後の地域社会とのかかわりも多いことがわかりました。一方、支援を受けた時期が遅かった人たちは経験を否定的に捉える傾向がありました。被災程度は回答に影響していませんでした。

【概要】

日本では、歴史文化資料(史料)の多くを地域の個人が所有しています。

東北大学災害科学国際研究所の上山眞知子特任教授(客員)らによる研究グループは、所有する史料が東日本大震災によって被災し、NPO法人による史料の救出?保存支援を受けた人たちの協力を得て、この支援が史料所有者に及ぼした影響を調査しました。研究協力者に、支援から連想されるイメージを話してもらい、その内容を統計的に分析した結果、災害後の史料の救出?保存支援が被災者のレジリエンスに寄与し得ることが統計的データ分析で裏付けられました。被災後3カ月以内に支援を受けた人たちは震災経験を肯定的に捉える傾向があり、救出された史料を活用して地域社会の復興に取り組んだ人もいた一方で、支援時期が遅かった人たちは経験を否定的に捉える傾向がありました。被災程度は回答に影響していませんでした。

本研究成果は2024年12月1日、Journal of Disaster 虎扑电竞 vol.19 no.6に掲載されました。

図1. 史料の救出?保存支援から連想する言葉を「史料救出」「感謝」「歴史」のカテゴリーに分けた際、それぞれに対する肯定的?否定的イメージの出現を比較した表。被災の程度(全壊または半壊)では大きな差は見られないが、支援を受けた時期に着目すると、3カ月以内に支援を受けた群のほうが肯定的イメージの出現が有意に高かった。

【論文情報】

タイトル:A Psychometric Evaluation of Preserving Cultural Heritage as a Form of Psychosocial Support
著者:Machiko Kamiyama*, Masae Sato, Reika Ichijo, Daisuke Sato, and John Morris
責任著者:上山眞知子* 東北大学災害科学国際研究所 特任教授(客員)(心理学、臨床心理士)
掲載誌:Journal of Disaster 虎扑电竞 vol.19 no.6, pp. 886-895
DOI:10.20965/jdr.2024.p0886
※著者一覧については、下記のプレスリリース本文をご覧ください。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学災害科学国際研究所 広報室
TEL: 022-752-2049
Email: irides-pr*grp.tohoku.ac.jp
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