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ガラスを破壊から守る原子の集団運動を発見 より破壊に強いガラスの創製への貢献に期待

【本学研究者情報】

〇大学院理学研究科 物理学専攻
准教授 齋藤 真器名(さいとう まきな)
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • ガラス中でおこる新しい原子の集団運動を発見しました。
  • 原子の集団運動によりガラスが破壊から守られる仕組みを解明しました。
  • 破壊に強いガラスの創製など、広いガラス関連産業分野に波及効果があると期待されます。

【概要】

ガラスに外力をかけたとき、内部では応力が発生し、この応力にガラスが耐えられなくなると破壊に至ります。一方、原子?分子の運動によりガラス中の応力が緩和することで、ガラスがより破壊に強くなることが知られています。しかしガラス内部では一部の原子が近傍の隙間にジャンプ運動していることが分かっていますが、このジャンプ運動が具体的にどのように応力を緩和しているかは良く分かっておらず、ガラス分野の重要な未解決問題の一つでした。

東北大学大学院理学研究科の齋藤真器名准教授を中心とした研究グループは、同大学大学院理学研究科の若林裕助教授、京都大学複合原子力科学研究所の瀬戸誠教授と同大学大学院理学研究科の荒木武昭准教授、島根大学材料エネルギー学部の尾原幸治教授、物質?材料研究機構の小野寺陽平主任研究員、公益財団法人高輝度光科学研究センターの依田芳卓主幹研究員らと共同で、ガラスのモデル系として知られるイオンガラス中の原子構造と運動を、放射光実験と計算機実験で精密に調べました。その結果、原子のジャンプ運動のほかに、ジャンプ運動によりできたわずかな隙間を埋めるように、周囲の数十個の原子集団がじわじわ移動する、新しいタイプの原子運動を発見しました。さらに、ナノ(10億分の1)秒からマイクロ(100万分の1)秒の間に原子がジャンプ運動と集団運動を繰り返すことでガラスに加えられた力が緩和し、ガラスが破壊から守られることが分かりました。今回の発見は、破壊に強いガラスの創製につながるなど、ガラス関連産業分野に広く波及効果があります。

本研究成果は、2024年12月2日に無機材料工学の分野の専門誌Acta Materialiaに掲載されました。

図1:ガラスの内部の応力の時間変化と、原子構造の部分的な変化の概念図

【論文情報】

タイトル:Discovery of collective nonjumping motions leading to Johari-Goldstein process of stress relaxation in model ionic glass
著者: Makina Saito*, Takeaki Araki, Yohei Onodera, Koji Ohara, Makoto Seto, Yoshitaka Yoda, Yusuke Wakabayashi
*責任著者:東北大学大学院理学研究科 物理学専攻 准教授 齋藤真器名
掲載誌:Acta Materialia
DOI:10.1016/j.actamat.2024.120536

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科
物理学専攻
准教授 齋藤 真器名(さいとう まきな)
電話:090-3993-7162
Email:makina.saito.d6*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報?アウトリーチ支援室
電話:022-795-6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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