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受容体1分子の動きを4色の蛍光色素で同時に観察 薬効評価を加速する蛍光?発光マルチモード標識法の開発

【本学研究者情報】

〇大学院薬学研究科 分子細胞生化学分野 
准教授 柳川正隆
教授 井上飛鳥
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • これまで困難とされていた4色同時細胞内1分子イメージングを世界最高水準で実現しました。
  • 決め手となったのは細胞表面の受容体を蛍光?発光の両方で検出できる蛍光化ペプチド(FiBiT)標識法の開発です。
  • れにより1分子?1細胞?細胞集団の多様な階層で薬効の評価が可能になり、創薬への貢献が期待されます。

【概要】

薬の多くは細胞表面の受容体(Gタンパク質共役型受容体、GPCR)に結合し、多様なシグナル伝達分子を介して情報を細胞内へと伝達します。生きた細胞でGPCR分子とシグナル伝達分子が相互作用する様子を観察する技術は、薬の作用機序を分子レベルで理解する上で重要です。

東北大学大学院薬学研究科の依田叡樹大学院生、柳川正隆准教授、井上飛鳥教授らの研究グループは、蛍光化ペプチド(FiBiT)を用いたGPCRの蛍光標識手法と、最大4色同時に細胞内の蛍光色素1分子を観察できる顕微鏡システム「多色1分子計測システム」を開発しました。本技術を組み合わせることで、薬が結合したGPCR分子がシグナル伝達分子と「いつ、どこで、どのように相互作用するか」についての情報を得ることができます。また、FiBiT標識したGPCRは蛍光?生物発光の両方で検出できるため、蛍光1分子計測だけでなく、フローサイトメーター?発光プレートリーダーによる1細胞?細胞集団レベルの幅広い階層の薬効評価に応用できます(図1)。

本研究成果は、2024年10月12日に科学誌Biophysics and Physicobiologyに掲載されました。

図1:FiBiT標識法が実現するGPCR標的化合物の階層横断的な薬効評価 右上図は4色のFiBiTで標識したGPCRの1細胞内の軌跡例

【論文情報】

タイトル:Four-color single-molecule imaging system for tracking GPCR dynamics with fluorescent HiBiT peptide
著者: Toshiki Yoda, Yasushi Sako, Asuka Inoue*, Masataka Yanagawa*
*責任著者:東北大学大学院薬学研究科 准教授 柳川正隆、同教授(京都大学大学院薬学研究科 教授 併任)井上飛鳥
掲載誌:Biophysics and Physicobiology
DOI:https://doi.org/10.2142/biophysico.bppb-v21.0020

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院薬学研究科
准教授 柳川 正隆
TEL: 022-795-6862
Email: yanagawa*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院薬学研究科
教授 井上 飛鳥
TEL: 022-795-6861
Email: iaska*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院薬学研究科
総務係
TEL: 022-795-6801
Email: ph-som*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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