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iPS細胞由来神経幹細胞による骨再生促進を確認 新規骨再生治療の可能性

【本学研究者情報】

〇歯学研究科顎口腔機能創建学分野 非常勤講師 塩飽由香利 教授 鈴木治
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 近年、神経系は骨代謝を調節していることが明らかとなってきました。しかし、神経による骨再生治療の可能性については不明でした。
  • iPS細胞由来神経幹細胞をマウス頭蓋冠骨欠損部に移植し、骨再生の促進を確認しました。
  • iPS細胞由来神経幹細胞による将来的な骨再生治療への応用や、神経系による骨代謝機序の解明に貢献することが期待されます。

【概要】

神経系は神経ペプチド(注1)やホルモンを介して骨代謝を調節しています。しかし、神経系の細胞が骨再生に与える効果やその仕組みは不明でした。

東北大学大学院歯学研究科顎口腔機能創建学分野の塩飽由香利非常勤講師、酒井進非常勤講師および鈴木治教授、同研究科分子?再生歯科補綴学分野の大川博子助教および江草宏教授、東北工業大学大学院工学研究科の鈴木郁郎教授らの共同研究グループは、iPS細胞由来神経幹細胞による骨再生促進とメカニズムの一端を明らかにしました。本研究により、新規骨再生治療の開発や神経-骨の代謝ネットワークの解明が進展することが期待されます。

本研究成果は2024年9月24日に学術誌Acta Biomaterialiaでオンライン公開されました。

図1. iPS細胞由来神経幹細胞による骨再生の概要図。iPS細胞由来神経幹細胞をゼラチン多孔体に播種し、マウス頭蓋冠骨欠損部に埋入しました。埋入4週後の組織像にて、新生骨(B)の形成とゼラチン(白矢印)を確認しました。遺伝子解析の結果、iPS細胞由来神経幹細胞はTGF-βやBMPシグナル伝達を介して骨形成を促進している可能性が明らかとなりました。

【用語解説】

注1. 神経ペプチド:神経刺激伝達に関与するアミノ酸の小さな鎖(ペプチド)の総称

【論文情報】

タイトル:Induced pluripotent stem cell-derived neural stem cells promote bone formation in mice with calvarial defects
著者: Yukari Shiwaku*, Hiroko Okawa, Ikuro Suzuki, Susumu Sakai, Hiroshi Egusa, and Osamu Suzuki*
*責任著者:東北大学大学院歯学研究科 非常勤講師 塩飽由香利
      東北大学大学院歯学研究科 教授 鈴木治
掲載誌:Acta Biomaterialia
DOI:10.1016/j.actbio.2024.08.054

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
顎口腔機能創建学分野
非常勤講師 塩飽 由香利(しわく ゆかり)
Email: yukari.shiwaku.a8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院歯学研究科
顎口腔機能創建学分野
教授 鈴木 治(すずき おさむ)
Email: suzuki-o*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
広報室
TEL: 022-717-8260
Email: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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