2024年 | プレスリリース?研究成果
過去の桜島噴火に共通したマグマ上昇の経時現象を解明 ― 大規模噴火の予測と事前の防災計画に道 ―
【本学研究者情報】
〇大学院理学研究科地学専攻
助教 新谷 直己
教授 中村 美千彦
専攻ウェブサイト
【発表のポイント】
- 桜島火山の有史以降の大規模噴火(1471 年、1779年、1914 年)に共通して、噴火発生前にマグマがいつ頃?どこまで上昇していたのかを明らかにしました。
- マグマ溜まりから浅部の火道まで一旦上昇したマグマは、約50日以停止し、再び上昇を始めてから数日以内と短時間のうちに地表に到達していました。この発見は大規模噴火の発生予測向上への貢献が期待されます。
- 将来、大規模噴火が起こる場合にはマグマがこのような複雑な動きをする可能性があることも考慮して、防災計画をたてておくことが必要です。
【概要】
来の火山災害のリスクを軽減するためには、過去の火山噴火の誘発過程(噴火に至るまでに地下でいつ?どのような現象が起きていたか)を理解することが重要です。
東北大学大学院理学研究科地学専攻の新谷直己助教と中村美千彦教授らの研究グループは、鹿児島県の桜島火山において人類が記録に残した有史以降に発生した三度の大規模噴火(1471年、1779 年、1914 年)で噴出した軽石に含まれる鉱物の微細な化学組成を調べました。その結果、姶良(あいら)カルデラ(注1)下の深さ約10 kmのマグマ溜まりから火道の浅部(深さ1~3 km程度)へと上昇したマグマは、約50日程度以上停滞した後に、再び上昇を開始してからは、ごく短時間(動き出してから数日以内)で地表に達していたことがわかりました。
今回、過去の大規模噴火に共通したマグマの上昇過程を詳細に明らかにしたことで、前兆現象を引き起こした原因の解明が進み、将来の噴火発生予測技術の向上への貢献が期待されます。また、将来もし同様の大規模噴火が起こる場合には、マグマがこのような複雑な動きをする可能性があることも考慮した防災計画をたてておくことが必要だと考えられます。
本成果は、8月27日に地球科学分野の専門誌Journal of Geophysical 虎扑电竞: Solid Earthに掲載されました。
図2. 鉱物の累帯構造から読み解いた、噴火に至るまでの地下でのマグマの動き。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科地学専攻
助教 新谷 直己
TEL: 022-795-7763
Email: n.araya*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
東北大学大学院理学研究科地学専攻
教授 中村 美千彦
TEL: 022-795-7762
Email: michihiko.nakamura.e8*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報?アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)