本文へ
ここから本文です

医薬品探索に重要な三員環構造に立体選択的な修飾を施す新手法を開発 三員環の内外の三連続不斉中心の制御を可能に

【本学研究者情報】

〇大学院薬学研究科 分子設計化学分野
教授 吉戒直彦
助教 金本和也
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 三つの炭素原子が環状に結合したシクロプロパン骨格(三員環構造)は、さまざまな医薬品や生理活性物質に含まれる重要な化合物群です。
  • このシクロプロパン環に対して、環の内外に三つの連続した不斉中心(注1)を新たに形成しながら置換基を導入する手法の開発に成功しました。
  • 本手法は新たなシクロプロパン誘導体への合成ルートを提供し、低分子創薬研究への貢献が期待されます。

【概要】

三角形型の特徴的な構造を持つシクロプロパン骨格は、低分子医薬品の開発において重要な役割を果たしており、特にキラルな類縁体を含む様々な類縁体の合成手法の開発が求められています。しかし、シクロプロパン誘導体の合成において、環の内外に連続した三つ以上の不斉中心を精密に制御しながら構築する方法は未開拓でした。

東北大学大学院薬学研究科の吉戒直彦教授、金本和也助教、築地健人大学院生と奈良女子大学の松本有正准教授からなる研究グループは、三員環アルケンであるシクロプロペンに対する有機亜鉛種の付加反応によって、環の内外に連続した三つの不斉中心を持つシクロプロパン誘導体を立体選択的に合成する方法の開発に成功しました。これらの誘導体は、シクロプロパン環を含んだ医薬品や農薬の候補化合物としての利用が見込まれます。

本成果は、これまで合成が難しかった新たなシクロプロパン類縁体の立体選択的な合成を可能にし、創薬化学や有機合成化学における波及効果が期待されます。

本研究成果は2024年8月6日付で、ドイツ化学会の国際誌Angewandte Chemie International Editionにオンライン掲載されました。

図1. 本研究:三つの不斉中心をもつシクロプロパン誘導体の立体選択的な合成法

【用語解説】

注1. 不斉中心:分子のキラリティーを生じさせる原子のことで、特に、四つの異なる原子または置換基の結合した炭素のことを指す。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院薬学研究科
教授 吉戒直彦
TEL: 022-795-6812
Email: naohiko.yoshikai.c5*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院薬学研究科 総務係
TEL: 022-795-6801
Email: ph-som*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ