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仙台空襲で焼失した旧国宝?仙台城大手門の金具類 実物を79年ぶりに確認 装飾に関する新史料も ―東北大学の歴史資料保全活動および授業が発見に貢献―

【本学研究者情報】

〇災害科学国際研究所 歴史文化遺産保全学分野
准教授 佐藤大介
研究所ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 旧?仙台城大手門(旧?国宝)の一部とみられる金具類が仙台市内で発見され、関連文献と照合した結果、実物であると確認されました。仙台城大手門は、昭和20(1945)年7月10日の仙台空襲により焼失しています。
  • また、焼失前の仙台城大手門にあった装飾物(菊と桐の紋)が、明治30年代に取り付けられていた可能性を示す新史料も発見されました。
  • 仙台市は2021年、「史跡仙台城跡整備基本計画」を策定し、旧仙台城関連調査を進めてきました。今回の発見は、将来の仙台城大手門復元に向けた貴重な史料となります。
  • 市民ボランティアと協働している東北大学災害科学国際研究所の歴史資料保全活動、および本学の学部生向け授業が発見につながりました。

【概要】

東北大学災害科学国際研究所の佐藤大介准教授(専門?日本近世史)は、2023年度の本学の全学教育講義「学問論演習」(学部1年生向け、2023年10月~2024年1月)において歴史資料レスキューの実習を行いました。佐藤准教授と学生らは、実習の一環として、収集家?郷土史家であった故?梅津幸次郎氏(1903~77)のコレクションに関する調査を実施し、2023年11月6日、約20点の金具類や瓦を確認しました。この中には、「昭和20年7月10日に戦災焼失した仙台城大手門の金具である」旨が記された箱(図1)に収められた金具類(図2)や、焼損?変形した物品が含まれていました。佐藤准教授らは、現所蔵者の協力を得て、物品の採寸等、さらなる調査を進めました。

一方、仙台市は、「史跡仙台城跡整備基本計画」(2021年策定)に基づき将来の仙台城大手門復元に向けた調査を進めており、大手門関連文献として、明治中期の旧陸軍による修理記録、ならびに、昭和初年の仙台高等工業専門学校(東北大学の前身の一つ)の調査記録を把握していました(いずれも個人所有)。

2024年5月30日、佐藤准教授らと仙台市教育委員会文化財課が共同で調査を実施し、金具類の現物と、仙台市が把握していた文献に含まれている旧仙台城大手門の金具類の模写を照合した結果、今回確認された金具類は、仙台城大手門に使われていた実物であったと結論しました。

2024年5月30日、実習に参加していた学生が梅津氏コレクションから、さらに菊の紋の拓本およびその説明書きからなる史料(図3)*を発見しました。

拓本は木製とみられる大きな菊の紋のもので、その説明は大正元(1912)年11月に書かれたとみられ、「明治20年代末に大手門の解体が検討された際、当時の第二師団長の働きかけで解体は回避され、さらに門に新たに菊と桐の紋を付すことになった」「新たに大手門に取り付けた菊の紋は、かつて仙台城本丸の建物に飾られ、今は青葉神社に保管されている紋を模して作成した」旨が記されていました。

今後、佐藤准教授らは、梅津氏コレクションのデジタル記録化?共有を目指していく予定です。今後、コレクションが、各地の歴史を復元?再生する重要な手がかりとなることが期待されます。さらにその過程を「文化財の活用」として位置づけ、市民参加型で実施することで、歴史資料の保全を契機とするまちづくりの実践も目指していきます。

図1. 「通称大手門?昭和廿年戦災焼失」と記された箱の蓋書き
図2. 箱の中に収められていた釘隠し(右)、釘3種類(左)、飾り金具(上)

*図3、図4については、下記のプレスリリース本文をご覧ください。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究内容に関すること)
東北大学災害科学国際研究所 歴史文化遺産保全学分野
准教授 佐藤 大介
TEL:  022-752-2143
Email: daisuke.sato.e2*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学災害科学国際研究所 広報室
TEL:  022-752-2049
Email: irides-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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