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高感度直接変換X線イメージセンサ技術を確立 - 臭化タリウムを用いたFPD -

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 量子エネルギー工学専攻
准教授 人見 啓太朗
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • X線に高い感度、信号雑音比を有する臭化タリウムの信号処理基板への直接形成技術を確立した。
  • フラットパネルディテクタと組み合わせることで高精細なX線イメージセンサを実現した。
  • 広範囲に変換膜を形成することが可能であり、超大型X線イメージセンサやフレキシブルセンサなどへの応用が期待される。

【概要】

東京大学大学院工学系研究科のMoh Hamdan(モー ハムダン)大学院生(研究当時、現在:学術専門職員)、島添健次 准教授、東北大学の野上光博 助手、人見啓太朗 准教授らは株式会社ジャパンディスプレイ(JDI)と協力し、新たに臭化タリウム(注1)を直接変換膜とした高精細?高感度なX線イメージセンサの作成手法を確立しました。X線(注2)を用いた画像診断は、医療応用ではレントゲンやマンモグラフィー、産業用途では異物検査や内部構造の検査など広範囲で用いられる非常に重要な技術です。本手法により、X線検出の高感度化やそれに伴う低被ばく化、イメージセンサの大型化、フレキシブル化などの可能性が開かれます。

臭化タリウムは、高原子番号のタリウムと臭素の組み合わせによる非常に高い密度(7.56 g/cm3)により、X線やガンマ線への高い感度を持ちます。本研究グループは、その低融点である特徴を利用し、蒸着技術を用いて臭化タリウムを精度の高い結晶変換膜として広範囲に形成する技術を確立しました。さらに、この変換膜をJDIの有するFPD(Flat Panel Detector、注3)による微細ピクセル読出技術と組み合わせることで高感度なX線イメージセンサを実現する技術の開発に成功しました。

本手法は、大規模なイメージセンサへの応用や、平面以外への形成も可能であり、新たなX線イメージング技術となることが想定されます。

本研究成果は、2024年5月9日(米国東部夏時間)に米国科学誌「Nuclear Instruments and Methods in Physics 虎扑电竞 Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment」のオンライン版に掲載されました。

臭化タリウムを用いたX線イメージセンサ(論文より転載)

【用語解説】

(注1)臭化タリウム
原子番号81番のTl(タリウム)と原子番号35番のBr(臭素)から成る非常に高密度(7.56 g/cm3)の化合物半導体。エネルギー分解能の高い(1% @ 662 keV)測定が可能であることが知られている。

(注2)X線
可視光より3桁以上波長が短く、透過力の高い光?電磁波で、産業用途では、物体の内部構造の可視化、医療応用ではレントゲン等の生体内部の構造の可視化に用いられる。

(注3)FPD(Flat Panel Detector)
レントゲンやマンモグラフィー等のX線の撮影などで用いられるピクセル化された検出器。薄膜トランジスタを用いた回路を搭載することで、リアルタイムに画像を見ることができる技術の1つ。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
准教授 人見 啓太朗
TEL: 0175-73-2178
Email: keitaro.hitomi.d4*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤 みどり
Tel:022-795-5898
Email:eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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