本文へ
ここから本文です

応力を記録する新材料の開発に成功 老朽化が進むインフラの構造診断の技術革新に期待

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 材料システム工学専攻
教授 徐 超男
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 機械的刺激に対する応力を記録する新材料を開発しました。
  • 新材料を構造物等の表面に塗布し、残光(注1を観察することにより、過去に受けた荷重を定量的かつ長期的に読み出すことが可能です。
  • 構造診断検査技術に応用することで、持続可能な社会への貢献が期待されます。

【概要】

日本では現在、特に高度経済成長期に建設された道路や橋梁、トンネルなどの社会インフラや高層ビルの老朽化が大きな社会問題となっております。そのため、それら構造物の事故防止や長寿命化のために新たな構造診断検査技術のニーズが急速に高まっています。将来的な方法の一つとして、機械的刺激に反応し発光する応力発光体(注2)を構造物に塗布し検出する方法があります。しかし発光を観測できるのは機械的刺激を受けた時点のみという課題がありました。

東北大学大学院工学研究科の内山智貴助教と徐超男教授らは、産業技術総合研究所と佐賀大学との共同研究により、機械的刺激に対する応力を記録し、それを定量的かつ長期的に読み出すことが可能な新たなマルチピエゾ材料(注3)である複合酸化物のPr添加Li0.12Na0.88NbO3を開発しました。

本材料は電源や複雑な装置ならびにその場観察が不要なため、省エネルギーであり、さらにIoT(注4)技術と組み合わせることで、検査に要する人手不足や費用削減につながり、持続可能な社会への貢献が期待されます。

本成果は、2024年4月25日に米国物理学協会誌 Applied Physics Letters のオンライン版で公開されました。

図1. (左)応力記録を読み出した時の残光像 (右)有限要素法解析による計算結果

【用語解説】

注1. 残光
蛍光体に紫外線などの光を照射した後、光を切っても発光続ける現象。

注2. 応力発光体
1990年代に徐教授らによって発見された、力学刺激のひずみエネルギーに相関して繰り返し発光する材料。

注3. マルチピエゾ材料
超高感度応力発光特性と巨大圧電特性を併せ持つ材料。これまでの応力発光材料とは全く異なるメカニズムで強い発光を示すため注目を集めている材料である。

注4. IoT
Internet of Thingsの略。日本語でモノのインターネットと訳し、センサーを取り付けた様々なモノの情報がインターネットを通してつながる技術のこと。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
教授 徐 超男
TEL: 022-795-7348
Email: chao-nan.xu.c8*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科
情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs09 sdgs11

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ