2024年 | プレスリリース?研究成果
サルの脳に足し算、引き算細胞を発見 足し算は右手、引き算は左手と関連
【本学研究者情報】
〇大学院医学系研究科生体システム生理学分野 教授 虫明元
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- サルの脳から足し算、引き算に関連する細胞を発見しました。
- 足し算、引き算細胞の多くは手の運動にも関与しており、足し算細胞は右手の動作と、引き算細胞は左手の動作と強く関連していました。
- 脳には計算を実行する特殊な細胞が存在するのではなく、手の運動を制御する細胞を再利用することにより、計算という抽象的な操作を可能にしていることが示唆され、脳機能から見た数学の学習法など教育分野への応用が期待されます。
【概要】
私たちの生活において数学は欠かせないものであり、コンピューターの普及により我々の文化は目覚ましい発展を遂げてきました。コンピューターは計算が得意ですが、人間の脳ではそこまで速く正確に計算をすることはできません。私たちは足し算、引き算といった計算をどうやって認識するのでしょうか?
東北大学大学院医学系研究科生体システム生理学分野の虫明 元(むしあけ はじめ)教授、奥山 澄人(おくやま すみと)非常勤講師(兼 将道会総合南東北病院 脳神経外科副部長)らの研究グループは、サルを用いた実験で、脳に足し算、引き算を実行する際に強く反応する細胞があることを世界で初めて発見しました。これらの大半の細胞は左右の手の運動にも強く関与しており、足し算細胞は右手の運動と、引き算細胞は左手の運動と関連していることが明らかとなりました。このことから計算という抽象的な操作を実行するにあたっては、大脳の手の運動を調節する細胞を再利用(リサイクル)していることが示唆されます。今回の結果は言語を持たない霊長類においても基本的な足し算、引き算が可能であることを示し、我々がどのように数学を理解するか、そのメカニズムの理解につながる可能性があります。
本研究成果は2024年3月28日午前10時(ロンドン時間、日本時間3月28日(木)午後7時)Scientific Reportsオンライン版に掲載されました。
図1. 数操作課題には2つの操作ルールがあり、250試行数ごとにそれぞれの操作ルールが入れ替わります。どちらのルールでもサルは同等の成績を達成しました。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科
生体システム生理学分野
教授 虫明 元(むしあけ はじめ)
TEL: 022-717-8073
Email: hmushiak*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(非常勤講師 奥山 澄人(おくやま すみと)
(兼 将道会 総合南東北病院 脳神経外科)
TEL: 022-717-8073
Email: okuyama*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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