2024年 | プレスリリース?研究成果
分娩回数が多い女性ほど高血圧予防のための適切な体重維持が重要
【本学研究者情報】
〇大学院医学系研究科 女性ヘルスケア医科学共同研究講座
講師 岩間 憲之
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 閉経後では、分娩回数が多い女性ほど高血圧のリスクが高く、高血圧の危険因子である肥満の割合も高い傾向を認めました。
- 現在の体格指数 (BMI)による影響をできるだけ取り除くと分娩回数と高血圧との関連は薄れたことから、分娩回数が多いほど高血圧のリスク因子である肥満が関与し、高血圧予防には適切な体重維持が重要と考えられました。
- 閉経前後ともに、妊娠高血圧症候群(注1)の既往がある女性では、高血圧のリスクが高いことが分かり、多産女性や妊娠高血圧症候群既往歴を有する女性を対象とした、高血圧のサーベランスや予防対策の必要性が示唆されました。
【概要】
60歳以上の日本人女性の約60%が高血圧を有しており、特に分娩と妊娠高血圧症候群は女性特有の高血圧のリスク因子であることが知られていますが、分娩回数と高血圧の関連についてコンセンサスが得られた見解はありません。
東北大学大学院医学系研究科女性ヘルスケア医科学共同研究講座の岩間憲之講師と東北大学大学院医学系研究科周産期医学分野の齋藤昌利教授らのグループは、東北メディカル?メガバンク計画地域住民コホート調査に参加している30,530名の成人女性を対象に、分娩回数と高血圧との関連を調べた結果、閉経前では、分娩回数と高血圧に関連がない一方で、閉経後では分娩回数が多い女性ほど高血圧のリスクが高いことを明らかにしました。閉経後の分娩回数と高血圧の関連性は、現在のBMIで調整すると薄れました。さらに、閉経前?閉経後の両方において、妊娠高血圧症候群の既往がある女性では、高血圧のリスクが高いことが分かりました。本研究は妊娠高血圧症候群の既往も考慮した上で、分娩回数と高血圧有病率との関連を調査した日本初の報告です。
本研究成果は、2024年1月8日に高血圧に関する専門誌Journal of Clinical Hypertensionに掲載されました。
図1. 閉経前後における分娩回数と高血圧との関連
【用語解説】
注1. 妊娠高血圧症候群
何らかの原因によって妊娠時に高血圧を認める、または高血圧に加えて母体の臓器障害などが発生する全身性の症候群です。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科
女性ヘルスケア医科学共同研究講座
講師 岩間 憲之(いわま のりゆき)
TEL: 022-717-7251
Email: noriyuki.iwama*med.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部広報室
東北大学病院広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press*pr.med.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
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