2023年 | プレスリリース?研究成果
コヒーレントX線を用いた二つの計測手法の融合 -不均一な運動の解析がナノスケールからマイクロスケールで可能に-
【本学研究者情報】
〇国際放射光イノベーション?スマート研究センター(多元物質科学研究所 兼務) 教授 髙橋幸生
研究室ウェブサイト
〇国際放射光イノベーション?スマート研究センター 教授 ダム ヒョウチ
研究室ウェブサイト
〇国際放射光イノベーション?スマート研究センター(多元物質科学研究所 兼務) 准教授 星野大樹
研究室ウェブサイト
【概要】
理化学研究所(理研)放射光科学研究センター理研RSC-リガク連携センターイメージングシステム開発チームの髙澤駿太郎研修生(東北大学大学院工学研究科博士後期課程)、髙橋幸生チームリーダー(東北大学国際放射光イノベーション?スマート研究センター教授)らは、東北大学国際放射光イノベーション?スマート研究センターの星野大樹准教授、北陸先端科学技術大学院大学共創インテリジェンス研究領域のダム?ヒョウ?チ教授らと共同で、X線光子相関分光(XPCS)[1]と動的コヒーレントX線回折イメージング(動的CXDI)[2]を組み合わせた解析法により、不均一な運動の解析がナノスケールからマイクロスケールで可能であることを実証しました。
本研究成果は、可視光を透過しない物質や、高分子?生体細胞中の粒子の不均一な運動の解析への適用が期待されます。
今回、共同研究グループは、ポリビニルアルコール水溶液中に分散した金コロイド粒子の運動について、XPCSと動的CXDIで得られたデータに対して、人工知能(AI)の一つである機械学習の技術を採用した解析を実施しました。これにより、数百ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)の範囲ではブラウン運動[3]が存在し、マイクロメートル(?m、1?mは100万分の1メートル)の範囲では二つの運動モード、すなわち狭い領域に拘束された運動と異方的な拡散運動が存在することを見いだしました。
本研究は、科学雑誌『Physical Review 虎扑电竞』オンライン版(11月3日付)に掲載されました。
XPCSと動的CXDIの二つのコヒーレントX線を使った計測手法の融合
【用語解説】
[1] X線光子相関分光(XPCS)
干渉性の優れたX線(コヒーレントX線)を用いたダイナミクス測定手法。コヒーレントX線を試料に照射して得られる干渉性の散乱像を時分割で取得し、その時間変化から、試料のダイナミクスを解析する。X線の特徴を生かすことで、分子スケールで不透明な試料の内部の動きを調べることができる。XPCSはX-ray photon correlation spectroscopyの略。
[2] 動的コヒーレントX線回折イメージング(動的CXDI)
回折強度パターンに位相回復計算を実行し、試料像を取得するイメージング法。重要な特長として、X線領域において光学素子の性能に制限されない高い空間分解能を有する。CXDI はcoherent X-ray diffraction imaging の略。
[3]ブラウン運動
微粒子に液体または気体の分子が各方向から無秩序に衝突することによって起こる不規則な運動。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学国際放射光イノベーション?スマート研究センター
(多元物質科学研究所 兼務)
教授 高橋 幸生(たかはし ゆきお)
TEL: 022-217-5166
E-mail:ytakahashi*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学国際放射光イノベーション?スマート研究センター
教授 ダム ヒョウチ
E-mail:dam.hieu.chi.e7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学国際放射光イノベーション?スマート研究センター
(多元物質科学研究所 兼務)
准教授 星野 大樹(ほしの たいき)
TEL: 022-217-5648
E-mail:taiki.hoshino.c7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所 広報情報室
TEL: 022-217-5198
E-mail:press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています