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潤滑油を接触面に捕集する世界初の技術を開発 - 安価な潤滑油が主成分でも低摩擦?高効率に動く機械の誕生に期待 -

【本学研究者情報】

大学院工学研究科機械機能創成専攻
准教授 村島 基之
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 誘電泳動現象(注1を用いた潤滑油の捕集(注2技術を世界で初めて開発しました。
  • 摩擦試験に透明材料を使用することで潤滑油の流動特性を解明しました。
  • 少量の高品質潤滑油の使用でも低摩擦損失を可能とする機械の誕生に期待できます。

【概要】

 機械に用いられる潤滑油は使用する環境に合わせて、様々な基油(ベースオイル)と添加剤を組み合わせることにより高い潤滑性および耐摩耗特性を実現させています。しかし高機能な潤滑油は一般に高価であるため、産業利用においてコスト面での課題があります。

 東北大学大学院工学研究科の村島基之准教授と名古屋大学大学院工学研究科の梅原徳次教授らの研究グループは、高機能潤滑油を通常の潤滑油に混合させた二液混合油(注3を用いて、誘電泳動現象を活用することで高機能潤滑油を効率的に機械しゅう動部に捕集できる新技術を開発しました(図1右)。本技術により、高機能潤滑油の微少量使用条件下における高い潤滑性や耐摩耗性の発現、環境負荷の低減、潤滑油の減少時における摩擦安定化の維持が可能になります。

 本研究成果は、2023年10月31日に摩擦を取り扱う科学の一分野、トライボロジーの専門誌Tribology Onlineにオンライン掲載されました。

図1 誘電泳動(100 V印加)によりしゅう動部に凝集する低摩擦潤滑油(右図)と無印加条件では凝集しない状態(左図)。青点線内が機能性低摩擦潤滑油を示す。

【用語解説】

注1 誘電泳動現象:
交流電場中に誘電体粒子が存在すると、粒子に分極が生じる。周囲に存在する溶媒も分極するが、分極の程度は物質ごとに異なる。この分極の違いが外部電場に対する異なる応答を生じさせることで、結果として粒子が移動する。

注2 捕集:
化学用語で、複数の成分が混じった液体や気体から特定の成分を集めることを意味する。

注3 二液混合油:
溶解し合わない異なる二つの潤滑油を混ぜ合わせた潤滑油。一般的な潤滑油は、高温になると粘度が過度に低減するという問題が生じる。二液混合油は高温で低粘度油と高粘度油が溶解し合うことにより、粘度の過度な低減を防ぐことなどを目指して開発されている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
准教授 村島 基之 (むらしま もとゆき)
TEL: 022-795-6955
Email: motoyuki.murashima.b3*tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科
情報広報室 担当 沼澤みどり(ぬまざわみどり)
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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