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地熱貯留層の形状と地殻応力との関係性を解明 事前調査で地熱貯留層の形状を予測し、抽熱システム設計に貢献

【本学研究者情報】

〇流体科学研究所 助教 椋平祐輔
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 注水を伴う次世代型の地熱開発(注1)で造成される貯留層(人工的な地熱貯留層(注2))の形状は、地殻応力の方向?絶対値に相関していることを解明しました。
  • 地殻応力は地下の岩盤中の水の流れやすさ(透水性)の支配的なパラメータであり、実際には透水性が地熱貯留層の形状を決定していることが分かりました。
  • 本成果は事前に地殻応力や、坑井(こうせい)(注3)の検層などの地球物理情報を取得することで、地熱貯留層の形状を予測することが可能なことを示唆しており、地熱開発のシステム設計に確実な情報を提供できます。

【概要】

次世代型の地熱開発(能動的地熱開発)では、地下に流体を圧入し、地熱貯留層を造成します。どの様な形状の地熱貯留層が造成されるか、経験則はあったものの統一的な理解が為されてきませんでした。貯留層の形状の予測?把握は、その後の熱抽出システムの設計にとって大変重要な情報です。

東北大学流体科学研究所の椋平祐輔助教、訪問研究学生のMeihua Yang(メイファ ヤン)氏、Kangnan Yan(カンナン ヤン)氏(共に中国?成都理工大学所属)、伊藤高敏教授、同大学大学院工学研究科?工学部の森谷祐一教授、産業技術総合研究所再生可能エネルギーセンターの石橋琢也主任研究員、岡本京祐主任研究員、浅沼宏副センター長、石油資源開発株式会社技術本部の熊野裕介グループ長、ドイツ?ベルリン自由大学のSerge A. Shapiro(サージ シャピロー)教授、米国地質調査所のJustin L. Rubinstein(ジャスティン ルーベンステイン)博士、成都理工大学のYinhui Zuo(シンホァ ゾォ)教授は、2006年12月にスイス?バーゼルでの能動的地熱開発プロジェクトで検出された微小地震を詳細に解析し、人工地熱貯留層と見なせる微小地震発生領域の形状が、地殻応力と関連していることを明らかにしました。地殻応力は地下の流体の流れやすさを表す透水性の支配的なパラメータであり、透水性を通して微小地震発生領域が地殻応力と相関していることを明らかにしました。

本研究成果は、2023年8月3日付でJournal of Geophysical 虎扑电竞: Solid Earthに掲載されました。

図1. 主応力軸に沿った人工地熱貯留層の断面図内の、微小地震発生領域の形状の時間変化。主成分分析の解析結果をベクトルでさらに表示。赤:第一主成分ベクトル、黄:第二主成分ベクトル。微小地震発生領域が巨視的には円に近いことが分かる。

【用語解説】

注1. 地熱開発
地中数百~数千メートルの深さでマグマによって加熱された水を主に発電(地熱発電)に利用すること。自然に存在する水資源を利用することもあるが、人工的に坑井を掘って水を注入する,もしくは地下の透水性を向上させる能動的地熱開発の研究開発が進められている。

注2. 地熱貯留層
地下に浸透した雨水等は,地球深部由来の地熱により加熱され,熱水?蒸気となる。このような地熱流体は,流体を通しにくい不透水層の直下に貯留し,その場所を地熱貯留層と呼ぶ。能動的地熱開発では、流体を人工的に地中に圧入し,熱交換流体として用いる。その過程で、人工的に地熱貯留層が造成される。

注3. 坑井(こうせい)
地下資源および地下の地質的構造の探査や採取を目的として、ほぼ鉛直方向に掘削された井戸。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学流体科学研究所
助教 椋平祐輔
TEL: 022-217-5235
Email: mukuhira*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学流体科学研究所
広報情報室
TEL: 022-217-5873
Email: ifs-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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