2023年 | プレスリリース?研究成果
高難度なアミド結合形成反応の効率化を実現! ?反応性の低い基質同士をシンプルに繋ぐ?
【本学研究者情報】
〇生命科学研究科 助教 梅原厚志
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- アミドは生体分子や天然物、医薬品などの構造中に普遍的に存在する極めて重要な化学結合です。
- 独自に開発した反応条件を用いて、反応性が低く難度の高いアミド形成反応を高効率かつone-potで実現しました。
- 本手法は、反応性の低い基質同士をシンプルな方法で効率的に繋ぐ強力な手法であり、創薬化学研究の貢献に大きく期待できます。
【概要】
アミドは、生体分子や天然有機化合物、医薬品などの構造中に普遍的に存在する極めて重要な化学結合です。そのため、アミド結合形成のための方法はこれまで数多く開発されてきました。しかし、インドールやカルバゾールやラクタムなどの反応性の低い窒素求核剤(注1)とカルボン酸とのone-pot縮合反応による直接的なアミド結合形成反応(注2)の例は非常に稀です。
東北大学大学院生命科学研究科の梅原厚志助教と佐々木誠教授、大学院生の志水颯真氏はこれまで、DMAPO/Boc2O反応条件(注3)を独自に開発してきました(参考文献1)。今回、この方法を応用して、反応性の低い窒素求核剤と立体的に大きなカルボン酸の高効率化学選択的one-pot縮合反応を実現しました。この成果は、従来の手法では適応困難であった反応性の低い基質同士を簡便かつシンプルに繋ぐことができる強力な方法を提供するものであり、創薬化学研究の貢献に大きく期待できます。
本研究成果は、2023年7月4日付で有機合成化学の専門誌Advanced Synthesis & Catalysisにオンライン掲載されました。
【用語解説】
注1. 反応性の低い窒素求核剤: 具体的には、インドール、アザインドール、カルバゾール、ピロール、ピラゾール、ラクタム、オキサゾリジノンを指す。これら化合物の窒素原子は、芳香属性や孤立電子対の非局在化により、中性条件では求核性(反応性)が非常に低い。既存の縮合剤を用いる反応条件では通常、効率よく反応が進行しない。
注2. カルボン酸のone-potアミド形成反応: one-potとは、複数の反応を一つの反応容器で行うこと。効率性の観点から望ましい方法である。カルボン酸とアミンからone-potでアミド結合を形成するには、カルボジイミドやウロニウム系の強力な縮合剤を用いるのが定法である。
注3. DMAPO/Boc2O反応条件: DMAPO = 4-ジメチルアミノピリジンN-オキシド、Boc2O = 二炭酸ジ-tert-ブチルの略。反応性の低い窒素求核剤とカルボン酸をone-potで簡便に結合させる新規のアミド結合形成反応である。本反応は、反応性の低い求核剤の求核的な活性化とカルボン酸の求電子的な活性化を一つのフラスコ内で同時に効率よく行っている。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学生命科学研究科
助教 梅原厚志
TEL: 022-217-6214
E-mail: atsushi.umehara.e3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
http://sasaki-umehara-lab.moon.bindcloud.jp/
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
E-mail: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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