2023年 | プレスリリース?研究成果
地上?宇宙産業の課題を解決する 「ワンストップ放射線照射試験サービス」の提供を開始 ―加速器設備の外部利用を促進―
【本学研究者情報】
〇サイクロトロン?ラジオアイソトープセンター 教授 渡部浩司
研究センターウェブサイト
【発表のポイント】
- 東北大学サイクロトロン?ラジオアイソトープセンター(CYRIC)(注1)は株式会社光エンジニアリングサービス(HES)(注2)およびSEESE株式会社(注3)と協力し、「ワンストップ放射線試験サービス(注4)」を開始します。
- 試験の計画、試験実施支援、評価解析等の一連のプロセスをITシステムで一元管理します。また、随時予約可能な受付体制とともに、ユーザが効率的に放射線照射試験を実施できる体制を提供します。
- 放射線照射試験への参入障壁を低減することで、我が国の宇宙および地上産業の発展に貢献します。
【概要】
宇宙から降り注ぐ放射線は人工衛星やロケットを始め、IoE化が加速する地上の電子機器に対しても幅広く影響を及ぼします。放射線照射試験は、こうした宇宙放射線に対する電子機器の耐性を確認するために必要不可欠な工程となります。一方でユーザには、利用タイミングの調整、複雑な予約手続き、そして試験計画から評価解析に至るまでの高度な専門知識が求められます。
国立大学法人東北大学サイクロトロン?ラジオアイソトープセンター(以下、CYRIC)は、宇宙および地上産業のさらなる発展を目的として、株式会社光エンジニアリングサービス(以下、HES)およびSEESE株式会社(以下、SEESE)と共同で「ワンストップ放射線照射試験サービス」を2023年7月3日(月)より、開始しました。
本サービスは、HESが提供する試験コンサル/試験実施支援/評価解析などの技術サービス、およびCYRICが提供する加速器を含む設備利用サービスを、SEESEが統一されたITシステムとしてデジタル化し、ユーザの円滑な放射線照射試験を支援するものです。これにより我が国の将来の基幹産業と位置づけられる宇宙および地上産業のさらなる発展への貢献が期待されます。
図1. CYRIC設備(930型AVFサイクロトロン)
【用語解説】
注1. 東北大学サイクロトロン?ラジオアイソトープセンター(CYRIC)
サイクロトロン2台を所有し、さまざまな分野に加速イオンを提供しております。半導体照射事業は1999年より世界に先駆けて実施されている事業です。さまざまなイオンの照射が可能で、準単色中性子照射場など世界的にもユニークな照射環境を提供しています。
注2. 株式会社光エンジニアリングサービス(HES)
2024年4月に運用開始予定のNano Terasu(次代放射光施設)の維持管理の支援業務と同施設を利用した分析評価事業に参画すべく、航空宇宙分野で実績がある(一財)航空宇宙技術振興財団(JAST)を中心に地元の有志企業が発起人となり、2019年に設立した会社です。分析評価事業を主事業とし、技術開発業務へのコンサルティングとプロジェクト支援業務にも取り組んでおります。
注3. SEESE株式会社
「新経済を産みだすインフラをつくる」をミッションとして、物理学体系と経済発展モデルへの見識をベースに次世代社会システムに要請されるインフラ環境を先行構築するプラットフォームビルダーです。煩雑な調達?製造?試験プロセスのデジタルトランスフォーメーション推進、およびその経験と知見を活かした調査研究?政策立案支援を通して、宇宙産業と地上産業の相互的成長促進に取り組んでいます。
注4. ワンストップ放射線試験サービス
本サービスは、随時予約を可能にし、放射線照射試験プロセスを効率化します。サービス向上のために試験運用期間を設けております。
試験運用期間は2023年7月3日?2024年夏頃です。
詳細やお申込みについては、以下URLからご確認いただけます。
<大強度高速中性子ビームコース>
<半導体照射試験装置>
試験運用期間中にはフィードバックを収集し、サービスの改善に役立てます
問い合わせ先
東北大学サイクロトロンラジオアイソトープセンター
担当 (渡部浩司、伊藤正俊)
TEL: (022-795-7803,7793)
E-mail cyric-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
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