2022年 | プレスリリース?研究成果
画像下治療(IVR)術者用の新しい放射線防護具を開発 放射線白内障等の発生リスク低減へ
【本学研究者情報】
〇大学院医学系研究科放射線検査学分野 教授 千田浩一
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 画像下治療(IVR)注1術者用の新しいユニークな放射線防護具を開発した。
- 鉛防護眼鏡を使用しなくても、眼の水晶体の被ばく線量を大幅に減少できる。
- IVR術者の放射線白内障等の発生リスク低減に大きく寄与することが期待できる。
【概要】
X線透視像などを用いたIVR等に携わる放射線従事者は、放射線白内障などの障害が発生するリスクがあり、そのリスクは従来考えられていたよりも高いことが分かってきました。東北大学医学系研究科放射線検査学分野の江口洋一非常勤講師らの研究グループは、IVR術者用の新しい放射線防護具の開発に成功しました。新しい放射線防護具は、フェイスシールドと甲状腺プロテクタを一体化させた構造という、従来にないユニークな発想のIVR術者用の鉛防護具で、水晶体を含めてIVR術者の頭頚部の被ばく防護が可能です。新しい放射線防護具の遮蔽能力について、人体ファントム実験にて確かめたところ、眼の水晶体線量の平均遮蔽率は、左眼で87.5%、右眼で83.6%であり、鉛防護眼鏡よりも高い遮蔽効果が期待できることが分かりました。
本研究成果は、2022年7月29日に国際科学誌電子ジャーナルBioengineering誌に掲載されました。
図1.IVR術者用の新しい頭頸部用放射線防護具(フェイスシールド)の外観
左:正面像。甲状腺プロテクタ(ネックガード)とフェイスシールド部分を一体化して構成されている。フェイスシールドはIVR術者の左側に設置してある。
右:新しい頭頸部用放射線防護具側面像。左側の側面像である。IVR術者の左側からの散乱X線を効果的に遮蔽できるようにデザインされており、効果的に水晶体の放射線防護ができる。(IVR術者の多くは、左側の被ばく線量が高い。)
【用語解説】
注1.IVR(Interventional Radiology):X 線透視撮影下で、体内に細い管(カテーテル)を入れて病気を治す治療法。IVRは外科的手術を必要としないため、身体にあたえる負担が少ないなど優れた特長を持っており、ガンの治療や、心筋梗塞?狭心症(経皮的冠動脈形成術、PCI)等々に広く応用されている。IVR は患者の救命や生命予後改善および QOL の維持向上に極めて有用であり、現在広く普及している。しかし IVR は、難易度の高い症例などでは X 線透視撮影時間が非常に長くなることもあるため、患者や IVRスタッフの放射線被ばく線量増加が重大な問題となる場合がある。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科
放射線検査学分野
教授 千田 浩一(ちだ こういち)
電話番号:022-717-7943
Eメール:chida*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部
広報室
電話番号:022-717-8032
FAX番号:022-717-8187
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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