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論理的思考を支える脳のはたらきとその神経回路を解明

【本学研究者情報】

〇生命科学研究科 教授 筒井健一郎
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 論理的な推論で将来を予測し、判断?行動するような思考回路が脳によってどのように実現されているのかには未知の部分が多かった。
  • サルを研究対象とし、論理的な思考回路に関係する神経活動を発見し、理論モデルを用いて、論理的思考に関わる神経メカニズムについて解明した。
  • 本成果は人間の高次な認知機能のさらなる理解や、論理的思考を不得意とするような病態の理解、さらに、論理的思考を可能とする人工知能の開発にもつながることが期待される。

【概要】

私たちは日常生活において、過去の経験や現在手に入る情報をもとにした論理的な推論を行うことによって将来を予測し、判断?行動をしています。そのような思考過程は脳によってどのように実現されているのでしょうか。東北大学生命科学研究科の細川貴之講師(現 川崎医療福祉大学准教授)、筒井健一郎教授と、東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構の徐牧原博士研究員、合原一幸副機構長(東京大学特別教授/名誉教授)、はこだて未来大学の香取勇一教授の共同グループは、サルを使った動物実験でカテゴリー※1情報を用いた論理的な思考過程に関係する神経活動を発見し、その理論モデルを構築することで脳内において論理的思考が行われるメカニズムを解明しました。

本研究成果は、神経科学のトップジャーナルのひとつであるJournal of Neuroscience誌(7月8日)に速報版が掲載されました。

図1 サルが行った課題の概要 カテゴリーAの視覚刺激はルールXのときはジュース(正の報酬)を予告し、ルールYのときは食塩水(負の報酬)を予告する。カテゴリーBの視覚刺激はその逆に、ルールXのときは食塩水を予告し、ルールYのときはジュースを予告する。サルは現在のルールがどちらかを認識し、画面に提示された視覚刺激から、結果(ジュースもしくは食塩水)を予測しなければならない。

【用語解説】

1.カテゴリー
行動学的には、「同じ行動を誘発する、機能的に等価な刺激グループの表象」と定義され、狭義には範疇、広義には概念と同じ意味を持つ。抽象的な思考の基盤をなす要素の一つであると考えられている。例えば、「椅子」というカテゴリーには、様々な大きさ?形のものがあるが、いずれも「座る」という行動に結びついている。本研究では、実験の文脈外での学習や記憶の影響を排除するため、抽象図形を使った人工的なカテゴリーをサルに新たに学習させ、用いている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
教授 筒井 健一郎(つつい けんいちろう)
TEL: 022-217-5052
E-mail: tsutsui*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
TEL: 022-217-6193
E-mail: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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