2022年 | プレスリリース?研究成果
生理の痛みに魚の効果? 産後に魚の摂取頻度が多い女性は中等度以上の月経痛を有するリスクが低い
【本学研究者情報】
〇大学院医学系研究科婦人科学分野/病院婦人科 助教 横山絵美
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 魚の摂取頻度と月経困難症(月経痛)注1との関連を出産後1.5年時点で調査した結果、摂取頻度が週1回以上であると中等度以上の月経痛を有するリスクが有意に低かった。
- 魚にはドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)を始め、ビタミンDやビタミンEなどの栄養素が豊富に含まれており、これらの栄養素が月経痛に予防的に働いたと推測される。
- 産後の女性の食習慣において、定期的に魚を摂取することが推奨される。
【概要】
月経痛は、その痛みにより、しばしば女性の生活の質に大きな悪影響をもたらすため、治療として一般的に痛み止めが服用されています。近年の報告で、魚を摂取すると、魚に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)の抗炎症作用によって、炎症性の痛みの原因ともなるプロスタグランジン注2の作用を減少させる効果があるとされています。
東北大学病院婦人科学分野 横山絵美助教、東北医科薬科大学医学部衛生学?公衆衛生学教室 目時弘仁教授、近畿大学東洋医学研究所 武田卓教授らのグループは、魚の摂取頻度と月経困難症(月経痛)との関連に着目し、産後の女性において魚の摂取頻度が週1回以上であると、中等度以上の月経痛を有するリスクが低くなる傾向があることを明らかにしました。本研究は、産後の女性において月経痛の観点から魚の摂取の重要性を明らかにした世界で初めての報告です。
本研究成果は、2022年7月21日にPLOS ONEに掲載されます。
本研究は、環境省が実施しているエコチル調査の結果を用いて行われましたが、 研究者の責任によって行われているもので、政府の公的見解を示したものではありません。
図 産後1.5年時の魚の摂取頻度と中等度以上の月経痛のリスク
【用語解説】
注1.月経困難症(月経痛):月経期間中に月経に伴っておきる病的な状態であり、下腹部痛や腰痛など一般的に月経痛と呼ばれる症状が主症状となる。
注2.プロスタグランジン:痛みや発熱をおこす生理活性物質の一つ。プロスタグランジンが過剰分泌することにより疼痛が増強する。代表的な鎮痛剤である非ステロイド性抗炎症薬は、プロスタグランジンの合成を抑制することで鎮痛作用、解熱作用をもたらす。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科婦人科学分野
東北大学病院婦人科
助教 横山 絵美(よこやま えみ)
電話番号:022-717-7251
Eメール:emi.yokoyama.e8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部広報室
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-8032
FAX番号:022-717-8187
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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