2022年 | プレスリリース?研究成果
人の流れから都市の姿を描く -人流データのポテンシャル場から30年間に渡る首都圏の変遷を見る-
【本学研究者情報】
〇情報科学研究科 人間社会情報科学専攻 地域計量システム分析分野
准教授 藤原直哉
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 人々の移動行動データは、「何処から何処へ何人移動したか」という地点間の関係性を示すデータである。感染症対策を始め、防災やマーケティング、交通?都市計画などへ活用されている。
- しかし情報過多のため、地点から地点への移動行動の全体像を地図上で把握することが困難であった。
- その解決として、移動データの背後にある引き寄せる力(ポテンシャル場)を抽出することで、水が高いところから低いところに流れるように、人流の全体像を直感的に可視化することが可能になった。
- ロンドンや東京などを事例に、通勤データからポテンシャル場を可視化し、その変遷から人流の集積地点の発展を見た。
- 今後、都市構造が変化?複雑化していく状況を人々の移動行動データから分析できると期待される。
【概要】
香川大学 教育学部の青木高明准教授、一橋大学 大学院経済学研究科の藤嶋 翔太准教授、東北大学 大学院情報科学研究科の藤原直哉准教授の研究グループは、人々の移動行動データに対してポテンシャル場を導入し、都市空間構造を可視化する手法を発表した。人々の動きを捉える人流データ*1は、携帯電話の普及に伴いリアルタイム計測が可能になっており、感染症対策を始め、防災やマーケティング、交通?都市計画などへ活用されている。しかし情報過多のため、地点から地点への移動行動の全体像を地図上で把握することが困難であった。
提案法では、各エリアの人流を引き寄せる力(ポテンシャル場)を定量化した。これにより、人口密集地ではなく、人流の流入地点や流出地点が可視化され、人流の全体像を直感的に把握することが可能になった。1988年から2018年にかけて東京都市圏の通勤データからポテンシャル場を抽出し、東京都立川市やさいたま市大宮区などが、人流の集積地点として発展したことを確認した。今後、行動制限やリモートワークへの移行、さらなるライフスタイルの多様化が進む中、都市構造が複雑化していく状況を人々の移動行動データから分析できると期待される。
本成果は2022年7月4日(米国東部夏時間)にネイチャー?パブリッシング?グループの総合科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版で公開された。
図1 ロンドンの通勤流動データ(2011)を直接表示しても情報過多のため,"もや"のようにしか見えない(左図)。ポテンシャル場を分解することで,人々の流れを惹きつけている地点が可視化される(右図)。
【用語解説】
*1 人流データ
時々刻々と変動する人々の動きを捉えるデータ。従来のパーソントリップ調査のような統計調査に加えて、
近年では携帯電話の位置局情報やGPS情報などによるリアルタイムな計測
問い合わせ先
〈研究内容に関すること〉
東北大学大学院情報科学研究科 准教授 藤原直哉
TEL:022-795-4346 FAX:022-795-5815
E-mail:fujiwara*se.is.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
〈報道に関すること〉
東北大学大学院情報科学研究科広報室
TEL:022-795-4529 FAX:022-795-5815
E-mail:koho*is.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
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