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メタン排出量が多い肉用牛の生理的な特徴が明らかに

【本学研究者情報】

大学院研究科 教授 盧尚建
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 黒毛和種の肥育期間中(前期、中期、後期)に測定されたメタン排出量と、血液?ルーメン液?肝臓の生理的パラメーターを解析し、両者の関係を明らかにしました。
  • メタン排出量が多い肉用牛は、メタン産生によるエネルギー損失を補うため、体内のアミノ酸を積極的に活用している可能性が示唆されました。
  • 血液中のインスリンとケトン体、およびルーメン液中のプロピオン酸と酪酸の各濃度は、メタン排出量を予測する重要な因子であることが明らかになりました。

【概要】

日本国内から排出される温室効果ガスの量は11億5,000万トン(2020年基準、二酸化炭素換算)で、そのうち農業分野からの排出量は3,220万トンと2.8%を占めています(2022年度日本国温室効果ガスインベントリ報告書)。ウシなどの反芻家畜の消化管内発酵由来のメタンは農業分野の温室効果ガスの約24%(2020年度、二酸化炭素換算)を占めるため、畜産分野ではメタンを低減する飼料の開発や、メタン産生量が高いまたは低い牛の特定などの研究が行われています。これらの研究を遂行するためには、メタン産生量に応じた個体毎の生理的な特徴を明らかにすることも必要です。

東北大学大学院農学研究科の盧尚建教授のグループは、兵庫県立農林水産技術総合センターと共同で、黒毛和種の肥育前期、中期、後期に測定されたメタン排出量、血液中の代謝産物?ホルモン?アミノ酸の濃度、ルーメン液性状*1および肝臓トランスクリプトーム解析*2などの生理的な代謝情報を用いて、メタン産生と生理的特徴との関係を解明しました。本研究でメタン産生との関係が明らかになった生理的パラメーターは、国内で飼育されている黒毛和種のメタン排出量を予測する指標として活用できることが期待されます。

本研究成果は、2022年7月1日に国際科学誌Scientific reportsオンライン版で掲載されました。

図1.黒毛和種において高メタン排出量に関連する生理的パラメーターと肝臓トランスクリプトームの特徴(BHBA: β-ヒドロキシ酪酸。ケトン体の一種。)

【用語解説】

*1 ルーメン液:ウシなどの反芻家畜が第1胃内に貯留する、微生物により飼料が発酵消化された内容物。ルーメンとは第1胃を指す。

*2 トランスクリプトーム解析:細胞、組織などにあるRNA全体をトランスクリプトームと呼び、その発現量を網羅的に解析すること。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院農学研究科 動物生理科学分野
教授 盧 尚建
TEL: 022-757-4122
E-mail: sanggun.roh*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院農学研究科 総務係
TEL: 022-757-4003
E-mail: agr-syom*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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