2022年 | プレスリリース?研究成果
体本来の再生能力を引き出すチタンインプラント ―生体を模倣したチタンナノ表面の開発による歯周組織再生に成功―
【本学研究者情報】
〇大学院歯学研究科 准教授 山田将博
大学院歯学研究科 教授 江草宏
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- ヒト歯根表面の物理的性質を模倣するように表面特性を改良したチタンインプラントを開発しました。
- この生体模倣チタンインプラントは、埋植部位に存在する内因性幹細胞*1に働きかけることから、生体本来の再生能力を活性化させ、細胞移植をしなくても、天然歯周囲にあるものと同等の歯周組織を誘導しました。
【概要】
歯科用インプラント治療は、人工の歯根(インプラント)が顎骨と生着することにより成り立ちますが、本来ならば天然歯周囲に存在する歯周組織がないため、様々な臨床的課題が報告されてきました。これまでは、特殊な細胞を移植する以外、歯周組織がインプラント周囲に導かれることはありませんでした。
東北大学大学院歯学研究科 分子?再生歯科補綴学分野の山田将博准教授および江草 宏 教授らの研究グループは、歯根表面に存在する歯周組織の一部であるセメント質の物理的性質を模倣したチタン表面を開発しました。その生体模倣チタンインプラントにより、元来存在する体内の再生能力を司る内因性幹細胞の機能が制御されることで、細胞移植をしなくても、生体内で歯周組織を誘導させることに成功しました。本研究成果により、歯の再生に近い歯科再生医療の提供に近づくと期待できます。
本研究成果は、2022年6月13日に米科学誌ACS Applied Materials & Interfacesのオンライン版に掲載されました。
図1. 生体模倣チタンナノ表面による歯周靱帯の誘導の概要
【用語解説】
*1 内因性幹細胞:生体組織中に元々存在する体性幹細胞で、自己複製して特定の細胞型に分化して組織を治癒する能力をもつ。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
分子?再生歯科補綴学分野
准教授 山田 将博(やまだ まさひろ)
E-mail: masahiro.yamada.a2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学大学院歯学研究科
分子?再生歯科補綴学分野
教授 江草 宏(えぐさ ひろし)
E-mail: egu*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科広報室
電話: 022-717-8260
E-mail: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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