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アスパラガスの全雄品種育成に貢献する DNAマーカーの開発 --雌雄性遺伝子型の識別--

【本学研究者情報】

〇生命科学研究科 准教授 菅野明
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • アスパラガスには雌株と雄株が存在し、雄株が雌株と比べて生産性に優れるため、雄株のみで構成された「全雄品種」と呼ばれる品種が近年は好まれる傾向にある。
  • しかしアスパラガスは開花までに1~2年を要するため、個体の雌雄性遺伝子型を識別するには長い時間がかかっていた。
  • 多様なアスパラガス品種と一部の近縁野生種において雌株?雄株?超雄株を安定して識別できる新規DNAマーカー(SSM01)を開発した。
  • 本成果は、アスパラガス全雄品種育成過程での育種年限短縮に大きく貢献することが期待される。

【概要】

個体によって雌雄が分かれているアスパラガスは、ヒトと同じくXY型の性決定様式で、雌株はXX、雄株はXYです。生産性に優れる「全雄品種*1XY」の育成には、間性株(結実する雄株)の自殖後代で得られる超雄株(YY)と雌株(XX)を交配する必要がありますが、超雄株YYと雄株XYを外見から識別することは難しく、個体の雌雄性遺伝子型*2を識別するには長い時間を要していました。東北大学大学院生命科学研究科の菅野明准教授の研究グループは、さまざまなアスパラガス品種や近縁野生種において、雌雄性遺伝子型を識別できる新たなDNAマーカー(SSM01)を開発しました。本研究成果はアスパラガス全雄品種育成に用いられる超雄株選抜等に利用されることが期待され、アスパラガスの育種年限短縮に大きく貢献できます。

本成果は、5月20日付で科学雑誌Euphytica電子版に掲載されました。

図1.アスパラガスの雄花(左)と雌花(右)

【用語解説】

*1 全雄品種
アスパラガスの露地栽培では、落下した種子による雑草化がないことや食用とする若茎の形状が斉一で収量が高いことなどの理由から雄株の利用価値が高く、現在は雄個体のみを生ずる種子集団(全雄品種)が育成されています。この全雄品種育成にはアスパラガスの間性株を自殖することによって得られる超雄株(YY)が利用されています。間性株の遺伝子型はXYですが、この自殖後代ではXX:XY:YYが1:2:1に分離するので、この中からYY型の超雄株が選抜され、この超雄株(YY)と雌株(XX)を交配することで全雄品種が育成されています。

*2 遺伝子型
生物の個体が持っている遺伝物質の構成のことを指し、生物が持っている特性(葉の形や花の色など)を遺伝的に決定するものです。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 菅野 明 (かんの あきら)
電話番号: 022-217-5725
Eメール: kanno*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
Eメール: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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