2022年 | プレスリリース?研究成果
唾液腺の健康維持に働く2つの大食細胞 唾液腺の中に由来と性質が違う2種類のマクロファージを発見
【本学研究者情報】
〇大学院歯学研究科 教授 菅原俊二
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 唾液腺の中に胎生期の前駆細胞*1由来と生後の骨髄細胞由来の2種類のマクロファージ*2を発見した。
- 骨髄細胞由来の唾液腺マクロファージの割合は、成長に伴って劇的に増加した。
- 2種類の唾液腺マクロファージは、唾液腺の発生と正常な機能の維持に重要な働きをしていることが示唆された。
- 唾液腺の健康を維持する仕組みの解明と唾液腺疾患に対する新たな治療法の開発に大きく貢献することが期待される。
【概要】
唾液は口の持つ本来の働きを十分に機能させる上で非常に重要な分泌液です。唾液腺はこの唾液を産生?分泌する重要な臓器で、唾液腺の機能低下による唾液分泌の低下は「口腔乾燥症(ドライマウス)」などを引き起こします。マクロファージは、傷付いた細胞や微生物を食べることにより臓器の健康を維持する免疫細胞です。
東北大学大学院歯学研究科口腔分子制御学分野の菅原俊二教授らのグループは、唾液腺の健康維持に働く2種類のマクロファージを発見しました。
本研究では、唾液腺には由来と性質が異なる2種類のマクロファージが存在し、成長に伴ってその割合が劇的に変化することを発見しました。遺伝子解析などの結果から、唾液腺マクロファージは唾液腺の発生と正常な機能の維持に重要な働きをしていることが示唆され、本研究は唾液腺疾患に対する新たな治療法の開発にも大きく貢献することが期待されます。
この研究成果は2022年1月18日に国際科学誌Scientific Reportsのオンライン速報版に掲載されました。
【用語解説】
*1 前駆細胞:複数の違った種類の細胞に分化する幹細胞から、体を構成する体細胞に分化する途中の段階の細胞。
*2 マクロファージ:死細胞や傷害を受けた自己の組織、微生物などの異物を食べることにより、組織恒常性を担う免疫細胞。大食細胞とも呼ばれる。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科 口腔分子制御学分野
教授 菅原俊二
電話: 022-717-8321
E-mail: shunji.sugawara.d5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科広報室
電話: 022-717-8260
E-mail: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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