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半導体原子シートの新たな核形成過程を直接観測 ― 次世代フレキシブル透明デバイスの実用化に貢献 ―

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 准教授 加藤俊顕
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 透明でフレキシブルな半導体原子シートである遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)注1)の、結晶成長初期の核形成過程を詳細に直接観測する手法を開発。
  • TMD原子シートの新たな核形成機構(非古典的な二段階核形成)を世界で初めて発見。

【概要】

原子オーダーの厚みをもつ遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)は、炭素原子シートとして有名なグラフェンと類似の原子シート構造だけでなく、グラフェンにはない半導体特性、さらには原子層特有の柔軟性と透明性を示すことから、次世代フレキシブル透明半導体材料として大きな注目を集めています。しかし、TMDを高品質で合成する技術は未だ開発段階にあり、特に品質を決める成長初期段階の情報が必要とされていました。東北大学大学院工学研究科電子工学専攻の加藤俊顕准教授、金子俊郎教授らのグループは、東京大学大学院工学系研究科の澁田靖准教授らのグループと共同で、成長初期における核形成過程を解析する新手法を開発し、TMDの一種であるWS2の結晶成長が中間クラスターを経由する新たな核形成モデルによることを世界で初めて明らかにしました。この新たな核形成モデルを活用することで、今後精密な構造制御が可能となり、高品質で巨大な原子シートの合成、及び次世代超高性能フレキシブル透明デバイスへの活用が期待されます。

本研究成果は、2021年11月15日19時(日本時間)にネイチャーパブリッシンググループの英国科学雑誌Scientific Reports(電子版)に掲載されました。

本研究で開発したその場観測CVDと自動画像解析によるTMD結晶成長評価概略図。その場観測CVDで観測した(a)オリジナル画像と(b)自動画像解析により結晶輪郭をハイライトした画像の成長時間発展の様子。

【用語解説】

注1) 遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)
グラフェンと類似の原子層物質。遷移金属がカルコゲン原子に挟まれた構造をもつ。グラフェンは金属的伝導特性を示すが、TMDはバンドギャップを持つ半導体特性を示ことから半導体デバイス分野への応用が期待されている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
准教授 加藤 俊顕(カトウ トシアキ)
電話 022-795-7046
E-mail kato12*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道担当)
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
電話 022-795-5898
E-mail eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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