本文へ
ここから本文です

転移リンパ節内の灌流欠損の形成メカニズムを解明 造影超音波や造影CTによる観察

【本学研究者情報】

〇大学院医工学研究科 教授 小玉哲也
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 転移初期段階の腫大していないリンパ節で観察される灌流欠損注1(造影下での局所的低濃度領域)の形成メカニズムを造影高周波超音波および造影マイクロCTを使用して動物モデルで明らかにした。
  • 灌流欠損では、血管はほとんど確認されず、リンパ節全体では直径50μm以下の血管の数が減少し、直径50μm以上の血管の数は増加していた。
  • 転移初期段階の腫大していないリンパ節では、腫瘍の血管新生や酸素分圧は変化しなかった。

【概要】

リンパ節転移の有無は、治療計画や治療方針の決定、再発や死亡率のリスク増加に深く関わっています。転移リンパ節の画像診断では、サイズ増大、丸い形態、造影後の灌流欠損などの特徴が観察されます。中でも灌流欠損は、まだサイズが大きくなっていない転移リンパ節において最も信頼性の高い所見です。

東北大学大学院医工学研究科腫瘍医工学分野の小玉哲也教授らの研究チームは、リンパ節の大きさが約10 mmのリンパ節転移マウスモデルを用いて、腫大していない転移初期段階におけるリンパ節の灌流欠損の形成メカニズムを初めて明らかにしました。本研究結果をもとに、超音波、CT、MRIなどの画像検査で灌流欠損の検出や診断に一層の注意が注がれ、早期の転移リンパ節の指標となることで、リンパ節転移診断精度の向上が期待されます。

本研究成果は、2021年10月15日 Clinical & Experimental Metastasis誌(電子版)に掲載されました。

図1. マイクロCTならびに高周波超音波で可視化したリンパ節内の灌流欠損
マウス乳がん細胞(FM3A-Luc)を使用し、リンパ節に転移を誘導した後35日目に、マイクロCTならびに造影高周波超音波を用いてリンパ節を可視化した。対照群(Control)に比べて、腫瘍塊では血管網が形成されないために灌流欠損が生じ、マイクロCTならびに高周波超音波で黒く映像化される(矢印) 。

【用語解説】

注1.灌流欠損:リンパ節を造影CTあるいは造影超音波で観察すると、リンパ節内部の一部が周囲の組織よりも暗く抜ける像が観察されることがある。この所見は灌流欠損と呼ばれる。通常、この灌流欠損がみられると、転移リンパ節と診断される。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
腫瘍医工学分野
教授 小玉 哲也 (こだま てつや)
電話番号:022-717-7583
Eメール:kodama*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
Eメール:bme-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ