2021年 | プレスリリース?研究成果
新型コロナウイルス感染拡大における小児の役割 家庭外の環境で感染伝播を起こす頻度は低い
【本学研究者情報】
〇大学院医学系研究科微生物学分野 教授 押谷仁
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 小児(0-19歳)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染する環境、COVID-19の二次感染を起こす環境ともに家庭内が最も多いことが分かった。
- 二次感染注1を起こす感染者の割合は、乳幼児?小学生よりも中学生?高校生で高いことが分かった。
- 小児を対象とした既存の感染対策(休校措置など)の実施にあたってはその有効性を慎重に評価する必要がある。
【概要】
インフルエンザでは小児が地域の感染拡大に重要な役割を果たしていることがわかっています。そのため、流行早期の休校措置などは感染拡大阻止に有効であることが示されています。しかし、COVID-19に罹患した小児が地域の感染拡大において果たす役割は十分に明らかとなっていません。そのため、休校措置など小児を対象とした感染予防対策の有効性の正確な評価はこれまで困難でした。
東北大学大学院医学系研究科の微生物学分野 押谷仁教授らのグループは、全国都道府県が公表した20歳未満のCOVID-19患者の情報を用いて過去にさかのぼった解析(後方視的解析)を行い、小児患者が家庭外で二次感染を起こす頻度は低く、また二次感染を起こす小児患者の割合は中学生?高校生など比較的年齢が高い集団で高いことを報告しました。これまで知られていなかった国内の小児による感染伝播の実態が明らかになったことで、小児を対象とした感染予防対策の評価や立案に貢献できることが期待されます。
本研究成果は、2021年8月10日Frontiers in Pediatrics誌(電子版)に掲載されました。
図1.小児のCOVID-19感染および小児患者からの二次感染
小児患者(白色シルエット)はCOVID-19患者(灰色シルエット)からの感染伝播によってCOVID-19に罹患し、その後一部の小児患者は二次感染を起こし二次感染症例(黒色シルエット)を発生させる。本研究では、小児への感染伝播(点線矢印)と小児患者からの二次感染(実線矢印)がそれぞれどのような環境で発生していたのかについて調べた。
【用語解説】
注1. 二次感染:感染症に罹患した患者が、自分以外の人間にその感染症をうつしてしまうこと。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科 微生物学分野
教授 押谷 仁
Eメール:info*virology.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部広報室
電話番号:022-717-8032
FAX番号:022-717-8187
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)