2021年 | プレスリリース?研究成果
日本の看護師の新型コロナウイルスへの感染恐怖 -恐怖を高める要因を調査-
【本学研究者情報】
〇教育学研究科 教育心理学講座臨床心理学分野 教授 若島孔文
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 日本の看護師が抱えている感染恐怖の高さや、感染恐怖に影響を与える要因を調査した。
- 高齢の家族と同居している看護師は、そうでない場合よりも感染恐怖が高い。
- 小規模の病院で働いている看護師は、大きな病院で働いている看護師よりも感染恐怖が高い。
- 夜勤帯での時間が多い看護師ほど感染恐怖が高い。
- 看護師が行っている恐怖から逃避するような行動は、感染恐怖と関連している。
- 上記のような条件を抱える看護師に対する組織的なサポートの充実によって、感染恐怖が低減できる可能性が示唆された。
【概要】
新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、感染拡大の最前線に立つ看護師の労働状況の中で、自身の感染恐怖がストレス要因のもっとも大きなものであるといわれています。しかしながら、日本の看護師の新型コロナウイルス感染に関わる心理学的な研究は十分に行われてきませんでした。東北大学大学院教育学研究科博士課程後期の小岩広平、東北大学大学院教育学研究科若島孔文教授を中心とする研究グループは、看護師の新型コロナウイルス感染恐怖を測定し、その規定要因を明らかにしました。
調査は2020年5月20日から6月5日までの期間中に、日本国内在住の看護師を対象にWeb調査を行い、129名の看護師のデータを分析しました。
本研究では、規模の小さい病院の看護師が高い感染恐怖を抱いているという結果から、感染してしまった場合の事後対応や組織的サポートを充実させることで、看護師の感染恐怖を低減できるのではないかと提案しています。
本研究成果に関する論文は日本心理学会の学術誌「心理学研究」に受理され、概要が雑誌サイトで公開されました。
【参考図】本研究で示された看護師の感染恐怖の構造
数値は重回帰分析におけるβ値を示しています。*p<.05, **p<.01になります。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院教育学研究科
教授 若島 孔文(わかしま こうぶん)
電話番号:(022)795-6139
E-mail:kobun.wakashima.d3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(取材に関すること)
東北大学教育学部?教育学研究科総務企画係
電話番号:(022)795-6103
E-mail:sed-syom*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)