2021年 | プレスリリース?研究成果
硫化スズ太陽電池の高効率化への独自技術を実証~次世代ソーラーパネルの実現に前進~
【本学研究者情報】
〇本学代表者所属?職?氏名:多元物質科学研究所 材料分離プロセス研究分野?助教?川西 咲子
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- エネルギーのスマート化に貢献する硫化スズ太陽電池を作製
- 大型化に成功した硫化スズ単結晶を用いて世界初のpnホモ接合注1を実現
- 変換効率の向上に直結する高い開放電圧注2の取り出しに成功
【概要】
硫化スズ太陽電池は希少金属や有害元素を一切含まないため、クリーンエネルギーの普及を担う次世代ソーラーパネルへの実装が期待されています。東北大学多元物質科学研究所の川西咲子助教、鈴木一誓助教らのグループは、pnホモ接合の硫化スズ太陽電池を世界に先駆けて作製し、高い開放電圧の取り出しに成功しました。
硫化スズ太陽電池を高効率化するポイントは、p型とn型の硫化スズを組み合わせたpnホモ接合を作ることです。しかし、容易に作製可能なp型と異なり、n型硫化スズの作製は困難なため、pnホモ接合太陽電池の作製例はありませんでした。
研究グループは、2020年8月に大型化に成功したn型硫化スズ単結晶を用いることで、pnホモ接合からなる硫化スズ太陽電池の作製を実現し、pnヘテロ接合の硫化スズ太陽電池のチャンピオンデータに匹敵する360mVの高い開放電圧の取り出しに成功しました。これは、pnホモ接合の硫化スズ太陽電池の高い性能を実証するもので、今後の研究開発による更なる変換効率の向上が期待されます。
本研究成果は、2021年2月25日にSoral RRL誌に掲載されました。
図. 世界初のpnホモ接合硫化スズ太陽電池の作製プロセスと発電特性.一つのn型単結晶基板上に種々の条件で多数のp型層を同時に成膜することも可能.
【用語解説】
注1.pnホモ接合: 同一の半導体材料のp型層とn型層との接合。この接合領域に太陽光等の大きなエネルギーの光が照射されると、光電効果により発電する。異種の半導体材料のpn接合のことを、pnヘテロ接合と言う。
注2.開放電圧: 外部との回路接続のない状態での電圧のことで、高い開放電圧は変換効率の向上に直結する。同じく高効率化に直結する短絡光電流と並び、太陽電池の性能を示す重要な因子である。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
助教 川西 咲子(かわにし さきこ)
電話:022-217-5155
E-mail:s-kawa*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
助教 鈴木 一誓(すずき いっせい)
電話:022-217-5215
E-mail:issei.suzuki*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
広報情報室
電話:022-217-5198
E-mail:press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)