2021年 | プレスリリース?研究成果
震災後の妊娠女性の心理的苦痛にも目をむけて 東日本大震災後の被災地域では内陸部で精神的ジストレスが高かった
【本学研究者情報】
〇本学代表者所属?職?氏名:大学院医学系研究科 婦人科学分野?助教?渡邉 善
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 東日本大震災後3年間にわたり、宮城県における妊娠女性の精神状態(精神的ジストレス注1の有病率)を調査した。
- 直接的な津波の影響の少なかった宮城県内陸地域でも、特に、精神的ジストレス有病率は全国の他の地域と比較して一貫して高かった。
- 大規模災害後は妊娠女性が不安なく過ごせる環境を維持し、被災地の周辺地域を含めた長期的な支援を行うことが重要である。
【概要】
母体の不安や抑うつは、早産、低出生体重、妊娠高血圧症候群などの周産期合併症や産後の育児障害、児の神経発達障害に繋がることから、近年、妊婦さんの精神的ケアが重要視されています。東北大学大学院医学系研究科婦人科学分野/東北大学病院産婦人科 田上 可桜(たのうえ かおう)医師、渡邉 善(わたなべ ぜん)助教、東北医科薬科大学医学部衛生学?公衆衛生学教室 目時 弘仁(めとき ひろひと)教授らのグループは、東日本大震災後の被災地域(宮城県)における妊娠女性の精神的ジストレスの有病率に関する経年変化を検証し、内陸地域では一貫して精神的ジストレスを有する妊娠女性の頻度が高いことを明らかにしました。本研究は、震災の被害が大きかった地域のみならず周辺地域にも注目すべきであることを示唆した初めての報告です。
本研究成果は、2021年2月27日(日本時間2月27日午前9時)にEnvironmental Health and Preventive Medicine誌(電子版)に掲載されました。
本研究は、環境省が実施しているエコチル調査の結果を用いて行われましたが、研究者の責任によって行われているもので、政府の公的見解を示したものではありません。
図1 精神的ジストレス有病率経年変化
【用語解説】
注1.精神的ジストレス:耐え難い心理的な苦痛を感じている状態をさす用語。K6は精神疾患をスクリーニングするために開発された尺度。本調査では、K6の点数が13点以上を精神的ジストレスありと判定しました。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科婦人科学分野
東北大学病院婦人科
助教 渡邉 善(わたなべ ぜん)
電話番号:022-717-7251
Eメール:zen.watanabe.e8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)