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筋肉形成におけるペプチド分解酵素の新たな役割を発見 -筋細胞の増殖?分化制御の理解への貢献が期待-

【研究のポイント】

  • ペプチド注1を分解する酵素であるピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ(PSA)注2が筋細胞の増殖?分化制御に関与することを発見した。
  • PSA遺伝子の機能を抑制した筋細胞では、細胞増殖能の低下や細胞極性注3の低下を伴った形態異常を引き起こすことを見出した。
  • 筋細胞の増殖?分化を制御するペプチド分解酵素の新しい制御機構の解明につながることが期待される。

【研究概要】

骨格筋は軽微な損傷からの回復に優れた組織であり、日常生活や運動によって引き起こされる筋損傷は適切に修復再生されます。東北大学大学院医工学研究科健康維持増進医工学分野の長名シオン(おさな しおん)助教、永富良一(ながとみ りょういち)教授らの研究グループは、筋細胞の増殖や筋分化注4には細胞内におけるペプチド分解酵素の一つであるピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ(PSA)が寄与することを発見しました。この研究成果は、ペプチド分解酵素が骨格筋の維持に寄与している可能性を初めて明らかにした重要な報告です。将来的に、骨格筋量の調節機構の解明やサルコペニア注5などの筋萎縮予防に発展することが期待されます。

本研究成果は、2020年12月30日Journal of Cellular Physiology誌(電子版)に掲載されました。

図1.本研究の概要図
PSAは細胞内のペプチド分解酵素の一つである。筋細胞におけるPSA遺伝子の機能を抑制(PSA-KD)すると、細胞増殖能が低下し、筋管細胞の形態異常を引き起こされる。

【用語解説】

注1. ペプチド:2つ以上のアミノ酸が鎖状につながった分子の総称です。

注2. ピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ(PSA):細胞内におけるペプチドをアミノ酸に分解するペプチド分解酵素の一つです。

注3. 細胞極性:細胞の構成成分は細胞内で空間的に異なる分布を示しており、細胞の非対称性を意味します。

注4. 筋分化:筋肉は多核の筋線維によって構成されます。最初は別々であった筋細胞が、融合し太くなった筋管細胞を作る過程を筋分化と呼びます。

注5. サルコペニア:加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下および身体機能の低下が起こることを意味します。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科健康維持増進医工学分野
東北大学大学院医学系研究科運動学分野
教授 永富 良一
電話番号:022-717-8588
Eメール:nagatomi*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
電話番号:022-795-5826
Eメール:bme-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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