2018年 | 受賞
第14回(平成29年度)日本学術振興会賞の受賞者決定
この度、本学の研究者2名が、独立行政法人日本学術振興会の「第14回(平成29年度)日本学術振興会賞)を受賞することが決まりました。
須藤 祐司(大学院工学研究科?准教授)
本間 尚文(電気通信研究所?教授)
日本学術振興会賞は、創造性に富み優れた研究能力を有する若手研究者を顕彰し、その研究意欲を高め、研究の発展を支援することにより、我が国の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させることを目的とするものです。
授賞式は平成30年2月7日(水)に日本学士院(東京?上野)にて執り行われます。
須藤 祐司(大学院工学研究科 准教授)
授賞理由
「相変態制御による新規スマート材料の創成に関する研究」
Development of New Smart Materials through Phase Transformation Control
次世代の省エネルギーや高度医療を実現するために、これらを支える材料やデバイスの高性能化が期待できる形状記憶合金が注目されている。従来の銅系材料による形状記憶合金は、安価であるが形状記憶性能を左右する超弾性回復歪みが小さく実用化は困難であった。須藤祐司氏は、結晶粒間の拘束力によって合金結晶構造が相変態する際の可逆性が妨げられていることが超弾性回復歪みを大きくできない要因であることを見出した。そして形状記憶特性の向上には結晶粒の微細化が有効とする当時の通説を覆し、結晶粒を粗大化することが必要であることを実験的かつ現象論的に解明し、大きな超弾性回復歪みを得ることに成功した。この独創的な発想により、銅系形状記憶合金は、巻き爪矯正器具など治療器具として実用化された他、巨大な超弾性回復歪みを示す鉄系形状記憶合金の実現やマグネシウム系軽金属合金における形状記憶特性の発現にもつながっている。以上のとおり、須藤氏は、材料工学における相変態論研究ならびに相変化型材料の機能応用開発に大きく貢献しており、今後のさらなる発展が期待できる。
本間 尚文(電気通信研究所 教授)
授賞理由
「算術演算ハードウェアアルゴリズムの理論構築と暗号ハードウェア設計への応用」
Theory of Hardware Algorithms for Computer Arithmetic and Its Application to Design of Cryptographic Hardware
モノのインターネット(IoT)時代の到来に備え、これまで以上に安全なコンピュータシステムが必要とされている。暗号をはじめとするさまざまなセキュリティ機能には、ガロア体など多様な数系に基づく複雑な算術アルゴリズムを実現するハードウェアが必要とされ、高性能のハードウェア設計とその安全性解析を完全にかつ効率よく行うことが求められている。本間尚文氏は、算術演算のハードウェアアルゴリズムを系統的に設計?検証可能な理論を考案し、様々な数系に基づく算術アルゴリズムの自動設計?検証システムを構築している。また、その理論をさらに発展させ、高安全な公開鍵暗号ハードウェアアルゴリズムの系統的な設計手法を開発した。さらに、暗号ハードウェアの設計?検証用プラットフォームを世界に先駆けて開発?公開し、国内外の大学?研究機関?企業等で利用されている。以上のとおり、本間氏は、ハードウェアセキュリティの研究分野の発展に大きく貢献しており、今後のさらなる発展が期待できる。
問い合わせ先
(本件問い合わせ先)
東北大学 研究推進部研究推進課研究推進係
電話番号:022-217-5014
E-mail:kenkyo-kikaku*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(研究に関する問い合わせ先)
東北大学大学院工学研究科
研究推進課産学連携係
電話番号:022-795-4742
E-mail:eng-san*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学電気通信研究所
総務係
電話番号:022-217-5420
E-mail:somu*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)