本文へ
ここから本文です

公開ワークショップ「不要電波の広帯域化に対応した電波環境改善技術」を行いました

東北大学工学研究科電気エネルギーシステム専攻?未来科学技術共同研究センター山口正洋教授がリーダーを務めるプロジェクトが、7月13日(木)に片平さくらホールにて「不要電波の広帯域化に対応した電波環境改善技術」と題した公開のワークショップを行いました。

まずNTTネットワーク基盤技術研究所?秋山佳春氏による「NTT-R&Dにおける通信EMCへの取り組み」、および首都大学東京?清水敏久教授による「パワーエレクトロ二クスのEMIと解析手法」の2件の基調講演があり、家庭や車内のように家電製品や電子機器等が稠密に設置された環境では、SiCやGaN等の高速パワーデバイスとそれを用いたインバータ機器やワイヤレス電力伝送システム(WPT)等のスイッチングノイズがSHF帯まで及ぶ恐れがあり、これが将来の移動通信システムの安定な運用を阻害する大きな脅威となり得ることが指摘されました。

このように不要電波、利用帯域ともに広帯域化する中で、とくに電波利用の集中する700MHz から6GHzまでの周波数において、通信品質の安定化や周波数利用効率の高い移動体通信システムの構築に必要な電波環境改善技術を総合的に確立するため、移動端末受信部での不要電波の影響を抑制する技術、ノイズ発生源での高調波ノイズの発生と伝搬を抑制する技術、及びノイズ発生源の特定や対策による効果を定量的かつ高精度に測定?評価する技術について、総務省電波資源拡大のための研究開発「不要電波の広帯域化に対応した電波環境改善技術の研究開発」(代表:東北大学 山口正洋)の実施者が最新の研究開発成果を報告しました。

材料デバイスから無線通信?インバータ機器、システムと評価技術、ならびに管理運用等まで、産学官が一堂に集い幅広く交流?意見交換が行われました。電波の有効利用の推進、本技術分野の進展、および学術的な新展開等が大きく期待された本ワークショップでは90名を超える参加者が活発な議論を交わしました。

本研究開発は、強力な産学連携体制のもとで、東北大学の強い磁性材料分野、スピントロニクスに横断立脚し、段階的に低ノイズのパワーエレクトロニクス機器と無線機を開発することにより、無線通信システムの性能向上を分野融合的に目指すもので、指定国立大学法人への期待に応えうる成果を挙げています。今後の研究開発により、移動体無線局の受信感度向上や周波数の有効利用を促進するとともに、移動体通信システムの周波数逼迫の解消に資することが期待されます。

総務省 関口裕様 ご挨拶

山口研究代表 講演