2017年 | プレスリリース?研究成果
室温動作の生体磁場センサの高出力化に成功?脳活動情報とMRIとの同時画像化実現に光~
発表のポイント
- 室温で動作する生体磁場検出用センサで従来素子の1,500倍の出力を得た。
- 上記センサを用いた小型のMRI測定が可能な技術を確立した。
- 心臓および脳からの生体磁場信号と、MRIイメージングとの同時測定が現実的なものとなった。
- この成果は、てんかん診断、脳の手術前診断だけでなく、認知症や脳梗塞の予防や脳の機能解明など、幅広い応用が期待できる。
概要
東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻の安藤康夫教授のグループは、室温で動作する、高感度かつ高分解能の強磁性トンネル接合(MTJ)生体磁場センサの高出力化に成功しました。高出力が期待できる新材料および新素子構造の適用により、従来のMTJセンサと比較して、1,500倍の出力向上を実現しました。これまでに開発を終えている低ノイズアンプとこの素子を組み合わせることにより、約15倍の感度向上が期待でき、例えば心磁図測定に際してデータを繰り返し積算する必要がなくリアルタイムで計測することが可能な感度となります。室温で動作するデバイスでこのような高感度を達成したのは世界で初めてのことです。また、上記記載の技術を用いることで、超低磁場室温核磁気共鳴(NMR)の観測に成功しました。現段階ではまだプロトン(水)の磁気共鳴信号の観測のみですが、上記のMTJセンサを使用した画期的な磁気共鳴画像診断法(MRI)の実現へとつながる可能性があります
本研究の成果は、2017年5月22?23日に、Biomagnetic Sendai 2017の本会議およびそのサテライトミーティングにおいて論文発表されます。
図 MTJセンサを用いた室温心磁計?脳磁計の概念図
問い合わせ先
東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻
教授 安藤 康夫 (アンドウ ヤスオ)
電話番号:022-795-7946
東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻
准教授 大兼 幹彦 (オオガネ ミキヒコ)
電話番号:022-795-7948