2013年 | プレスリリース
東京方言話者と東北地方南部方言話者の言語処理の違いを発見 ―脳は育った地域方言によって音声を処理する―
理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、日本語における単語のピッチアクセントを処理する際の脳活動における左右の半球の反応差が、東京方言話者と東北地方南部方言話者間で異なることを突き止めました。これは、理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)言語発達研究チームの佐藤裕研究員(現徳島大学准教授)、山根直人研究員、馬塚れい子チームリーダーらと、名古屋大学の宇都木昭准教授、東北大学の小泉政利准教授らの共同研究グループによる成果です。
共同研究グループは、ピッチアクセントを使う標準語の東京方言話者と無アクセント方言を使う東北地方南部方言話者を対象に異なる方言環境で育った話者間で脳反応に違いがあるかどうかを調べました。具体的には、ピッチアクセントを聞いた時の東京方言話者と東北地方南部方言話者の脳反応を近赤外分光法を用いてそれぞれ測定しました。その結果、“雨”と“飴”のようにピッチアクセントで区別される単語を聞き分ける際に、東京方言話者は、左半球優位の反応を示したのに対し、東北地方南部方言話者は左右同程度の反応を示しました。このことから、同じ日本語でも東京方言話者は、ピッチアクセントの違いを単語の違いとして処理しているのに対し、東北地方南部方言話者は抑揚の違いとして処理していると考えられます。
この研究は、脳と言語発達の関係の解明に寄与すると考えられます。成果は、米国の科学雑誌『Brain and Language』に掲載されるに先立ち、オンライン版(10月18日付け:日本時間10月19日)に掲載されます。
[問い合わせ先]
独立行政法人理化学研究所
脳科学総合研究センター 言語発達研究チーム
客員研究員 佐藤 裕(さとう ゆたか)
(徳島大学大学院ソシオ?アーツ?アンド?サイエンス研究部准教授)
TEL、Fax:088-656-7195(直通)
E-mail: satoyu*tokushima-u.ac.jp(*を@に置き換えてください)
脳科学総合研究センター 言語発達研究チーム
チームリーダー 馬塚 れい子(まづか れいこ)
TEL:048-462-5445 FAX:048-467-9760
脳科学研究推進室
TEL:048-467-9757 FAX::048-467-4914
国立大学法人東北大学
文学研究科 / 脳科学センター 准教授 小泉政利
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E-mail: koizumi*sal.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
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