2013年 | プレスリリース
電子スピンのベリー位相を直接観測-幾何学的に保護されたスピン情報による量子デバイスへの展開に期待-
東北大学大学院工学研究科博士後期課程1 年長澤郁弥(日本学術振興会特別研究員),同研究科新田淳作教授,セビリア大学(スペイン),およびレーゲンスブルク大学(ドイツ)らの国際共同研究グループは,アハロノフ?キャッシャー効果を用いることにより,半導体デバイス中で電子スピンのベリー位相を電気抵抗の変化として直接観測することに成功しました。
ベリー位相は,時間とともに変化する通常の位相とは異なり,状態のたどる経路によってのみ決まるため,幾何学的に保護されているという特徴があります。ベリー位相はさまざまな現象にあらわれる普遍的位相であり,これまで光ファイバや超伝導体などを用いて数多く研究されてきましたが,電子スピンのベリー位相については直接的に観測された例がありませんでした。新田淳作教授らの研究グループは,スピンの位相干渉を電場により変調可能なアハロノフ?キャッシャー効果を利用することで,電子スピンの位相を制御し,そのベリー位相を初めて直接的に観測することに成功しました。この研究成果により,電子スピンを用いた飛行量子ビットやトポロジカルエレクトロニクスへの展開が期待されます。本研究成果をまとめた論文は2013 年9 月26 日,英国電子ジャーナル『Nature Communications』に掲載されました。
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東北大学大学院工学研究科
教授 新田淳作
E-MAIL : nitta*material.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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