2012年 | プレスリリース
細胞活性の網羅的モニタリングを可能にする微小チップの開発
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の末永智一教授、環境科学研究科の伊野浩介助教の研究グループは、多数の細胞の活性を同時にモニタリングできる、微小なチップデバイスの開発に成功しました。胚性幹細胞(ES細胞)の分化過程の測定を効率的に行えるようになるなど、生化学?医療などの分野への応用が期待されます。
ES細胞の培養や、大腸菌によるタンパク質の発現をさせる際には、培養した多くの細胞の中から、実際に医療や実験に使える有用な細胞を分別することが重要な課題となっています。有用細胞を分別する手法の1つとして、細胞に由来する化学物質の濃度を測定することで細胞の状態を判別する電気化学測定法注が用いられています。しかし、多数の細胞に対して同時に電気化学測定を行うためには、細胞の数と同数のセンサと電極が必要であったため、チップデバイス全体が大きくなってしまうことが実用化に向けた大きな課題でした。
本研究グループは、電極を格子状に配置し、局所的にレドックスサイクルと呼ばれる電気化学測定法を組み込むことで、チップ全体を飛躍的に小型化することに成功しました。さらに、このチップデバイスを用いることで、マウスES細胞から作製された胚様体の分化過程を、連続的にモニタリングすることが可能であることを示しました。電気化学測定法は、同じく有用細胞の分別に使われる光学的な手法に比べ高感度での測定が可能なため、分化過程の詳細なモニタリングが可能になるなど様々な応用が期待できます。
本研究成果は、5月25日にドイツ化学会誌Angewandte Chemie International Edition電子版に掲載されました。
詳細(プレスリリース本文)
[問い合わせ先]
<研究に関すること>
末永智一 教授
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)
Tel: 022-795-7209
Email:matsue*bioinfo.che.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
伊野浩介 助教
東北大学大学院環境科学研究科
Tel: 022-795-7281
Email:ino.kosuke*bioinfo.che.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
<報道担当>
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) アウトリーチオフィス
Tel: 022-217-6146
Email:outreach*wpi-aimr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)