本文へ
ここから本文です

電圧で磁気を制御できる新しいトランジスターの開発に成功 -室温での電気的な磁性のスイッチングに道-

 JST 課題解決型基礎研究の一環として、東京大学 大学院理学系研究科の福村知昭 准教授らは、ありふれた光触媒材料である透明な酸化チタンを用いて室温において電圧で磁気を制御することに成功しました。

 磁石の性質が電圧制御できることは、これまでガリウムマンガンヒ素などの磁性半導体などで報告されていましたが、-100℃以下の低温でしか動作しませんでした。福村准教授らは今回、酸化チタンに微量のコバルトを加えて、磁石の性質を持つ透明な磁性半導体を作り、わずか数ボルトの電圧で磁石の性質をオン?オフする新しいトランジスターの作製に成功しました。材料としてコバルト添加 酸化チタンを用いるとともに、電圧を有効に加えるために有機電解質が形成する電気二重層を用いる工夫をしたことによって、世界で初めて低電圧による室温動作につなげました。

 今回の成果は今後、窓ガラスなどにも搭載可能な室温で動作する透明な磁気メモリデバイスなどへの応用に発展するものと期待されます。

 本研究は、東京大学 大学院工学系研究科付属 量子相エレクトロニクス研究センターの川崎 雅司 教授(兼 東北大学原子分子材料科学高等研究機構 連携教授)、東北大学原子分子材料科学高等研究機構、同大学金属材料研究所、東京大学 大学院工学系研究科、財団法人 ファインセラミックスセンターと共同で行われました。

 本研究成果は、2011年5月27日(米国東部時間)発行の米国科学雑誌「Science」に掲載されます。

 

 本成果は、以下の事業?研究領域?研究課題によって得られました。

戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)

研究領域:「革新的次世代デバイスを目指す材料とデバイス」

(研究総括:佐藤 勝昭 東京農工大学 名誉教授)

研究課題名:「ワイドギャップ強磁性半導体デバイス」

研 究 者:福村 知昭(東京大学 大学院理学研究科 准教授)

研究期間:平成20年10月~平成23年3月

 この研究領域は、CMOSに代表される既存のシリコンデバイスを超える革新的な次世代デバイスを創成することを目標として、環境やエネルギー消費に配慮しつつ高速?大容量かつ高度な情報処理?情報蓄積?情報伝達を可能とする新しい材料の開拓やプロセスの開発を図る挑戦的な研究を対象とするものです。

 

詳細(プレスリリース本文)PDF

 

<問い合わせ先>

 <研究に関すること>

  福村 知昭(フクムラ トモテル)

  東京大学 大学院理学系研究科 化学専攻 准教授

  〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1

  Tel:03-5841-7595 Fax:03-5841-4603

  E-mail:fukumura*chem.s.u-tokyo.ac.jp

 

 <JSTの事業に関すること>

  原口 亮治(ハラグチ リョウジ)

  科学技術振興機構 イノベーション推進本部 研究推進部

  〒102-0075 東京都千代田区三番町5番地 三番町ビル

  Tel:03-3512-3525 Fax:03-3222-2067

  E-mail:presto*jst.go.jp

  (*を@に置き換えてください。)

このページの先頭へ