2010年 | 受賞?成果等
超伝導体への磁気注入に世界で初めて成功
東北大学(総長:井上明久)金属材料研究所の高橋三郎助教、日本原子力研究開発機構(理事長:岡﨑俊雄)先端基礎研究センターの前川禎通センター長、及びIBM アルマデン研究所のStuart S. P. Parkin 博士、Hyunsoo Yang 博士、See-Hun Yang 博士らの研究グループは共同で、超伝導体へスピンと呼ばれる磁気を注入して超伝導を制御することに世界で初めて成功し、超伝導状態でのスピン(磁気)が通常の状態に比べて100 万倍も安定であることを見出しました。
1999年、本研究グループの高橋助教らは、電気抵抗がゼロの超伝導体を二つの強磁性体(磁石)で挟み、超伝導体と強磁性体の間に薄い絶縁膜を挿入した積層構造のトンネル接合デバイスでは、電圧を印加することにより超伝導体にスピン(磁気)を注入できること、磁石の相対的な向きを変えることにより超伝導を制御できること、それにより大きな抵抗の変化(トンネル磁気抵抗効果注)を引き起こすことを理論的に予言しており、その実験的検証が望まれていました。
本研究グループは、アルミニウム(超伝導体)、コバルト鉄(強磁性体)、酸化マグネシウム(絶縁体)からなる高品位の二重障壁トンネル接合デバイスを開発し、理論的に予言されていたスピン注入による大きなトンネル磁気抵抗変化の観測に成功しました。これは、スピンは超伝導体で非常に安定に存在し続けられることを明らかにしたもので、従来の考えを修正するものです。
この研究成果は、超高感度センサーや量子コンピュータ注5)などの量子計算デバイスへの応用が期待されます。 本研究成果は、英国科学誌「Nature Materials(ネイチャーマテリアルズ)」のオンライン版(6月6 日付)に掲載されます。
[本件に関する問い合わせ先]
(研究内容について)
国立大学法人東北大学金属材料研究所 金属物性論研究部門
助教 高橋 三郎
TEL: 022-215-2008
独立行政法人日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター
センター長 前川 禎通
TEL: 029-282-5093
(報道担当)
国立大学法人東北大学金属材料研究所
総務課庶務係主任 小玉 亨
TEL: 022-215-2181, FAX:022-215-2184
独立行政法人日本原子力研究開発機構
広報部次長 須賀 伸一
TEL:03-3592-2346, FAX:03-5157-1950
日本アイ?ビー?エム株式会社
広報 波岡ジューン直子
TEL:03-3808-5196