2009年 | 受賞?成果等
高い透明性を有する酸化亜鉛ナノ結晶化ガラスの作製に成功
工学研究科応用物理学専攻?正井博和助教と藤原巧教授の研究グループは、酸化亜鉛ナノ結晶化ガラスを開発した。溶融急冷法により酸化亜鉛などを含む前駆体ガラスを作製し、これを熱処理することで、ナノサイズの酸化亜鉛結晶を選択的に析出することに成功した。従来の酸化亜鉛結晶化ガラスに比べて、透明性が高いうえ、溶融温度が200℃程度低いのが特徴である。安価で大型化が可能な半導体ナノ結晶化ガラスの実用材料として、光学用途をはじめ幅広い分野での応用が可能になる。
酸化亜鉛は、亜鉛と酸素の各層がc軸方向に交互に積み上げられているウルツ鉱型構造を持ち、高屈折率や広いバンドギャップを利用し、特異な機能性を有する電子材料や光学材料などへの応用が期待されている。従来の酸化亜鉛結晶化ガラスは溶融温度が 1560-1650℃と高いが、今回作製した結晶化ガラスは溶融温度が1400℃と低く、また、表面に配向した結晶が析出しており、結晶子がナノサイズのため高い透明性を有している。
これまで、酸化亜鉛などの半導体結晶相をベースとした透明ガラスセラミックスの研究報告例はほとんどなく、今回の成果によって、酸化亜鉛を多く含有しながら高い透明性を有する、新しい半導体ナノ結晶化ガラスとして、幅広い用途での応用が期待される。
なお本内容に関する講演が、2009年日本セラミックス協会年会のトピックス講演(発表者:学部4年 上野貴寛)に採択され、その内容が化学工業日報に掲載された(4月10日 付)。詳報は、Applied Physics Letters誌(94 巻、151908、2009年4月15日)にて公開されている。
問合せ先: 工学研究科応用物理学専攻 藤原 巧 E-mail: fujiwara * laser.apph.tohoku.ac.jp( * を@に置き換えてください)